飲食店のファクタリング|使える売上・使えない売上と確認したい安い資金化の方法

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飲食店でもファクタリングを使える場面はあります。
ただしほかの業種に比べ使える売上がかなり限られることを先に知っておいてください。
ファクタリングは、入金待ちの代金(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらい先に現金にする方法です。飲食店の売上で使いやすいのは、取引先の会社に出した請求書の代金です。法人の宴会、ケータリング、仕出し、お弁当の法人向け配達、食品の卸などがこれにあたります。
一方で、店頭のお客様からの現金は、そもそも入金待ちではないので対象になりません。クレジットカードやQRコード決済の入金待ちの売上は、買い取るかどうかがファクタリング会社によって分かれます。しかも多くの決済サービスには手数料の安い「早期入金」の仕組みがあり、こちらを先に使うほうがファクタリングよりずっと安く済む場合があります。
お金が足りないときは、まず決済サービスの早期入金や融資を確認してください。そのうえで取引先への請求書の入金を待っていて、ほかの方法では間に合わないときに使う。飲食店にとってのファクタリングは、そういう位置づけの方法です。
飲食店のオーナー
ファクタリング会社
飲食店の経営者が直面している資金難
飲食店の資金繰りを苦しくしているのは主に次の3つです。
- 食材や光熱費などの値上がりを、価格に乗せきれない
- 人件費が毎年上がっている
- キャッシュレス決済が増え、売上が口座に入るのが遅くなった
飲食店の倒産は過去最多
帝国データバンクによると、2025年の飲食店の倒産は900件で、前の年の894件を上回り、過去最多を更新しました。
業態別では、酒場・ビヤホールが204件、中華・東洋料理店が179件、日本料理店が97件です。倒産した店の77.3%は、負債5,000万円未満の小さな事業者でした。
参照 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」(2026年1月13日)
同じ調査では倒産の背景として、食材費や光熱費の高騰、人件費の上昇、家賃の上昇、団体客の減少や節約志向が挙げられています。
そして飲食店がコストの上昇分を価格に反映できた割合(価格転嫁率)は32.3%にとどまるとされています。上がったコストのおよそ3分の2はお店が自分でかぶっていることになります。
人件費が毎年上がっている
2026年度の最低賃金は、全国の加重平均で1,177円となり前の年度から56円上がっています。56円の引上げは、引上げ額の目安を示す制度が始まった昭和53年度以降で2番目の大きさです。2026年10月1日から12月2日までの間に都道府県ごとに順次引き上げられます。
参照 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(令和8年9月3日)
アルバイトやパートの比率が高い飲食店では、最低賃金の引上げがそのまま毎月の支払いの増加になります。
キャッシュレスで、売上が口座に入るのが遅くなった
経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済の比率は58.0%でした。支払いの半分以上が現金以外で行われていることになります。
参照 経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)
キャッシュレスで支払われた売上は、その場ではお店に入りません。決済サービスの会社から決められた日にまとめて振り込まれます。
たとえばPayPayの場合、振込手数料が無料の月1回の振込は「月末締め、翌月末入金」です。月の初めの売上なら口座に入るまで約2か月かかる計算になります。
飲食店のオーナー
飲食店は「現金商売」ではなくなりつつある
ここからが今回お伝えしたい一番のポイントです。
飲食店は、昔から「現金商売」と言われてきました。お客様からはその場で現金を受け取り、食材の仕入れは月末締めの後払い。そういうお店であれば、お金は先に入り、支払いはあとになります。
ところがキャッシュレスが増えることでこの順番が崩れます。
「売上が立つ日」と「売上が口座に入る日」は、別の日になったのです。
| 現金で売っていたころ | キャッシュレスが中心になった今 | |
|---|---|---|
| 売上が口座に入る日 | その日(手元にある) | 決済サービスの振込日(数日〜約2か月後) |
| 仕入れの支払い | 月末締めの後払い | 月末締めの後払い(変わらない) |
| お金の流れ | 先に入って、あとで払う | 先に払って、あとで入ることもある |
飲食店の経営者が「売上はあるのにお金が足りない」と感じるとき、その原因の一つはこの入金の時間差かもしれません。逆にいえば、入金の時間差を縮めるだけで、資金繰りが楽になる余地があるということです。
資金が足りないとき、どこからお金を用意するか
飲食店が資金を用意する方法は主に4つあります。考える順番はコストの低いものからです。
決済サービスの早期入金を使う
キャッシュレスの入金待ちが資金不足の原因なら、まず確認したいのが決済サービスの早期入金の仕組みです。
PayPayの場合、「早期振込サービス」を使うと、PayPay銀行なら翌日、ほかの銀行なら翌々営業日に入金されます。手数料は、振込金額の0.38%(税別)と、1回あたりの固定手数料(PayPay銀行は20円、ほかの銀行は200円)です。
ほかの決済サービスにも、入金の回数を増やしたり、入金を早めたりする仕組みが用意されていることがあります。使っているサービスの入金のルールを一度見直してみてください。
日本政策金融公庫や銀行の融資
融資はファクタリングより資金を用意するコストが低い方法です。開業資金や運転資金の相談先として、日本政策金融公庫や取引のある金融機関に相談するのが自然です。
ただし審査では決算の内容や今の借入の状況が見られます。申し込んでからお金が入るまでに時間がかかることも多く、急ぎの支払いには向きません。
仕入先との支払条件の相談
長く取引をしている食材の仕入先や酒屋に、支払いの時期を相談する方法です。一時的なものであれば、相談に応じてもらえることもあるはずです。ただし相手の資金繰りにも関わることなので、無理なお願いを続けるのは避けましょう。
ファクタリング
会社に出した請求書の代金を買い取ってもらい先に現金にする方法です。手数料は高いものの、法人の宴会やケータリングの代金の入金を待っていて、ほかの方法では間に合わないときの受け皿になります。
| 方法 | 使える売上 | お金が入るまで | コスト |
|---|---|---|---|
| 決済サービスの早期入金 | カード・QRコード決済の売上 | 翌日〜数日(サービスによる) | 低い(PayPayは0.38%+固定手数料) |
| 融資 | 売上の種類を問わない | 比較的長い | 低い(利息) |
| 仕入先との支払条件の相談 | (支払いを遅らせる方法) | 相談しだい | かからない |
| ファクタリング | 主に会社への請求書の代金 | 比較的短い | 高い(手数料) |
ファクタリングで使える売上、使えない売上
飲食店の売上は、ファクタリングで使えるかどうかで次のように分かれます。
| 売上の種類 | ファクタリング | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 店頭での現金の売上 | 対象外 | 入金待ちの代金ではない |
| カード・QRコード決済の入金待ち | 会社によって分かれる | 先に決済サービスの早期入金を確認する |
| フードデリバリーの売上 | 会社によって分かれる | 扱わないと明記している会社もある |
| 法人の宴会・ケータリング・仕出し・法人向け弁当の請求書 | 使いやすい | 相手が会社で、金額が決まっている |
| 食品の卸(ほかの店や小売店への販売) | 使いやすい | 相手が会社で、金額が決まっている |
使いやすいのは、会社への請求書の代金
ファクタリング会社は、買い取った代金を最終的に払う相手(売掛先)の信用で審査をします。会社の宴会やケータリング、仕出し、法人向けのお弁当など、会社に請求書を出して入金を待っている代金であれば、相談の対象になります。
カード・QRコード決済の売上は、会社によって扱いが分かれる
カードやQRコード決済の入金待ちの売上を、ファクタリングで買い取るかどうかは、ファクタリング会社によって考え方が違います。
ある会社は、カードやQRコード決済の売上は、お店が自分で請求書を出す取引とは違うため「対象になりにくい」と説明しています。また、フードデリバリーの売上も、自社では扱わないとしています。
参照 ペイトナー「飲食店のファクタリングとは|対象になる請求書とクレジットカード決済の扱い」
一方で別の会社は、カードやQRコード決済の入金待ちの売上を売掛金として扱い、2社間ファクタリングで資金にできると説明しています。
このように扱いは会社によって分かれます。ただどちらの場合でも、決済サービスの早期入金が使えるならそちらのほうがずっと安く済む可能性が高いと考えています(これは私見です)。
次の比較で確かめてみましょう。
ファクタリングを使うと、資金繰りはどう変わるか
使う売上の種類によって、ファクタリングが合理的かどうかは大きく変わります。
キャッシュレスの売上なら、まず早期入金と比べる
PayPayの入金待ちの売上が80万円あるとします。ファクタリングの手数料は、説明のため仮に10%とします。実際の手数料は会社や条件で大きく変わるので、この数字は相場ではありません。
| PayPayの早期振込(他行あて) | ファクタリング(仮に手数料10%) | |
|---|---|---|
| かかる費用 | 3,240円(80万円×0.38%+200円、税別) | 80,000円 |
| 受け取る金額 | 約79万7千円 | 72万円 |
この例では、費用に20倍以上の差があります。キャッシュレスの入金待ちが資金不足の原因なら、ファクタリングを考える前に、決済サービスの早期入金を確認するのが自然な順番です。
会社への請求書なら、ファクタリングが選択肢になる
一方、法人の宴会やケータリングの代金には、決済サービスの早期入金のような仕組みがありません。会社の締め日と支払日のルールに従って、入金を待つことになります。ここが、ファクタリングが選択肢になる場面です。
飲食店のオーナー
ファクタリング会社
飲食店のオーナー
ファクタリング会社
この60万円(入金は約45日後)で、手数料を仮に10%とすると、次のようになります。
| ファクタリングを使わない | ファクタリングを使う | |
|---|---|---|
| 今使えるお金 | 0円(約45日待つ) | 54万円 |
| 最終的に受け取る金額 | 60万円 | 54万円 |
家賃と仕入れの支払いには間に合いますが、6万円の手数料がかかります。この手数料を年の利率に直すと、約81%(10% × 365日 ÷ 45日)にあたります。ファクタリングは借入ではないので利息とは違いますが、コストの重さを比べる目安にはなります。
価格転嫁率が32.3%にとどまり、利益が圧迫されている今の飲食店にとって、この手数料は軽くありません。ファクタリングは「利益を削って時間を買う」方法です。次のような場面に絞って使うものだと考えてください。
- 家賃や仕入れの支払いが遅れれば、店を続けられなくなる、または取引先との信頼を失う
- 決済サービスの早期入金や融資では、支払いの日に間に合わない
- 手数料を払っても、その後の営業で取り戻せる見込みがある
個人経営の飲食店の場合
個人事業主として店を経営している場合でも、会社への請求書の代金があればファクタリングを使える場合があります。
ただし、2社間ファクタリングで求められることがある「債権譲渡登記」は、法務省によると譲る側が法人の場合に限られ、個人は利用できません。
そのため個人経営の店は、登記をせずに取引できる会社や、個人事業主・少額の代金に対応している会社を選ぶ必要があります。
使う前に確認しておきたい注意点
飲食店でファクタリングを使う前に次の3つを確かめておきましょう。
毎月の資金不足を、ファクタリングで埋め続けていないか
毎月のように資金が足りなくなる場合、原因は入金の時間差ではなく、売上と経費のバランスそのものにあるかもしれません。その状態でファクタリングを使い続けると、手数料の分だけ利益がさらに減り、状況は悪くなります。
ファクタリングは資金繰りの「つなぎ」であって、「土台」にはなりません。メニューの価格や仕入れ、営業時間の見直しとあわせて考えることが大切です。
違法な業者ではないか
金融庁はファクタリングを装った違法な貸付について注意を呼びかけています。
たとえば、代金の買取価格が著しく低い場合や、相手が払えなかったときに売った側が代わりに払わなければならない(償還請求権がある)場合は、実質的に貸付にあたる可能性があるとしています。また手数料が高すぎると、かえって資金繰りが悪くなり、借金を重ねるおそれがあることも指摘しています。
契約書に「償還請求権なし」と書かれているか、手数料の内訳が説明されているかを確かめてから契約してください。
キャッシュレスの売上を売る場合は、早期入金と比べたか
キャッシュレスの入金待ちの売上をファクタリングで売る場合は、契約の前に、決済サービスの早期入金を使った場合の費用と比べてください。先ほどの例のように、大きな差が出ることがあります。
飲食店に合ったファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶときは、次の5つを確認してください。
- どんな売上なら買い取るか:会社への請求書だけか、カード・QRコード決済の売上も扱うかは、会社によって違います
- 少額・個人事業主に対応しているか:個人経営の店や、宴会1件分のような小さな請求書では、ここが分かれ目になります
- 契約書に「償還請求権なし」と明記されているか:違法な業者を避けるためにも欠かせません
- 手数料の内訳が説明されるか:手数料のほかに事務手数料などがかからないかを確認します
- 2〜3社から見積もりを取る:手数料は会社と条件で大きく変わります。比べてから決めましょう
当サイトでは、選び方の考え方にもとづいておすすめのファクタリング会社3社を紹介しています。簡単な質問に答えて、自社に合う会社を探せる診断もあるので、見積もりを取る先を絞り込むときに使ってみてください。ファクタリングそのものの仕組みは、ファクタリングの仕組みの解説で詳しく説明しています。
よくある質問
クレジットカードの売上もファクタリングに使えますか?
ファクタリング会社によって扱いが分かれます。対象になりにくいとする会社もあれば、売掛金として扱う会社もあります。ただ、使っている決済サービスに早期入金の仕組みがあれば、そちらのほうが安く済むことが多いので、先に確認してください。
Uber Eatsなどのフードデリバリーの売上は使えますか?
扱わないと明記しているファクタリング会社もあります。扱いは会社ごとに違うので、申し込む前に確認してください。
個人経営の小さな店でも使えますか?
会社への請求書の代金があり、個人事業主に対応している会社であれば、使える可能性があります。個人は債権譲渡登記を利用できないため、登記をせずに取引できる会社を選ぶ必要があります。
開業したばかりでも使えますか?
ファクタリングの審査では、自社の実績よりも、代金を払う相手の支払い能力が中心に見られます。そのため、開業したばかりでも、会社への請求書の代金があれば相談できる可能性があります。ただし、審査の基準は会社ごとに違います。
現金の売上しかない場合はどうすればいいですか?
現金の売上は入金待ちの代金ではないため、ファクタリングの対象になりません。日本政策金融公庫や金融機関の融資、仕入先との支払条件の相談を検討してください。
まとめ
飲食店は「現金商売」と言われてきましたが、キャッシュレス決済が58.0%まで増えた今、売上が口座に入るのは売上が立った日よりあとになることが増えました。
そこに食材や光熱費、家賃の値上がり、最低賃金の引上げが重なり、価格に乗せきれたコストは3分の1ほど。飲食店の倒産が過去最多になった背景にはこうした事情があります。
ファクタリングは、入金待ちの代金を手数料と引き換えに先に現金にする方法です。ただし飲食店では、使える売上は主に会社への請求書の代金に限られます。キャッシュレスの入金待ちが原因なら、まずは決済サービスの早期入金を確認するほうが、ずっと安く済む可能性があります。
そのうえで、法人の宴会やケータリングの代金の入金を待っていて融資も早期入金も間に合わない。そんな場面ではファクタリングは店を続けるための有力な選択肢になります。
もし今、月末の支払いに不安があるなら、まずは決済サービスの入金のルールと、会社に出している請求書を確認してみてください。そのうえでファクタリングが必要だと判断したら、診断で自社に合う会社を絞り込み、2〜3社から見積もりを取って比べてみましょう。
飲食店のオーナー
ファクタリング会社



