はじめてファクタリングを利用しようと考えている事業者のために、全体的な流れと気を付けるべき点を中心としてお話ししたいと思います。
ファクタリングは売掛債権を売却し資金調達する方法です。事業者であればだれでも利用することができます。
もしファクタリングの仕組みをあまり知らないということであれば、「ファクタリングとは?を図解で説明」を参考にしてみてください。
ここからお話しする内容を知っているかどうかによって、大きく損をしなくて済む可能性が出てきます。
ファクタリングの流れ 5つのステップ
ファクタリングの流れを紹介します。以下のような5つのステップが基本となります。
STEP1 | ファクタリング会社へ連絡。(電話、もしくはメールフォーム) |
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STEP2 | ヒアリング。 |
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STEP3 | 必要書類を提出し審査開始。審査結果は早ければ1時間以内。 |
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STEP4 | 審査後、契約。契約後入金。早ければ即日で入金完了。 |
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STEP5 | 後日、売掛先から売掛金が入金されたらファクタリング会社へ送金。 |
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ここまでが一連の流れとなります。
まずはファクタリング会社を選び問い合わせをするところから始まります。
問い合わせをすると早ければ数分後、遅くても1営業日以内には連絡が来ます。
ヒアリングの段階で利用を断られることも
問い合わせると必ずヒアリングが行われます。聞かれることは主に2つ。「事業者であるのか」と「売掛金があるのか」ということです。
ファクタリングはこの2つを満たしていなければ利用することはできません。しかしファクタリングを利用すると金を借りられると思っている人が意外と多いため、このような質問をはじめにされるケースが多いのです。もちろんお金は借りられません。
逆に事業者であり売掛金があれば対象者であり、高確率で資金調達をすることができるでしょう。
事前に書類は用意しておきたい
少しでも早く資金調達したいと考えているのであれば、ファクタリング会社に問い合わせをする前から必要書類を揃えておくとよいでしょう。
契約する際にはすべての書類が揃っている必要があるためです。少しでも早く契約をし現金を手に入れたいということであれば、速めの行動が重要です。
揃える2つの書類+6つの書類
ファクタリング会社が審査を行うために確認する書類は以下の2つです。
- 売掛債権の証明書類(請求書・納品書・受注書)
- 直近3ヶ月の通帳
この2つの書類を提出することで、先ほどお話しした「事業者であるのか」と「売掛金があるのか」をファクタリング会社側として確認することができるのです。
そして最終的な契約に至るまでには以下の書類の提出も求められます。
- 商業登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 会社の業績を確認できる書類(決算書・確定申告書)
- 売掛先との基本契約書
- 売掛先との取引内容が記載されている書類(発注書、納品書、請求書)
- 入金履歴のある通帳
ファクタリング会社によって審査方法は異なり、提出書類も異なってきます。ここで紹介している書類はあくまでも一例です。
相見積もりは絶対に大事
ファクタリングを利用する際には、必ず複数社との相見積もりを行うようにしたほうが良いでしょう。ここを軽視する事業者がいるのですが、それでは大きく損をしてしまう可能性があるのです。
大きく損をしたくないのであれば、以下の話をよく読んだ方がよいと思います。
手数料商売 1回の契約で大きく利益を得たいと考える
ファクタリングは手数料商売です。少しでも高い手数料を取りたいと考えています。
「高い手数料を取ったらリピートしてくれなくなるのでは?それは商売としては良い方法ではないのでは?」
そう思う人もいるかもしれません。しかしファクタリングの場合は違うのです。
そもそもですが、ファクタリング会社からしてみると、同じ事業者と長く付き合おうとは考えていないケースが多いです。それはファクタリングを利用する事業者の多くは資金ショートしてしまっている状態であるためです。もちろんそうではない事業者もいますが大多数が経営難に陥っています。
資金ショートを繰り返す=経営がひっ迫
一般的に考えて、資金ショートを何度も繰り返す会社は危険といわざるを得ません。そしてファクタリングを利用するくらいですので、他の資金調達を利用できる状況ではないと想像できます。つまりファクタリングしか選択肢がない状況なのです。
もし事業者が倒産してしまった場合、ファクタリング会社としては大きく損失を出してしまいます。償還請求権がないためです。
参照 償還請求権とは
同じ事業者との付き合いに制限をかける
事業者から売掛金を買い取り、事業者にお金を渡したとします。その後、事業者が倒産してしまったとしましょう。償還請求権のない契約をしているため、売掛債権を買い取った金額分、ファクタリング会社は損失を出してしまうことになるのです。
手数料商売を得るために出した元金をそのまま損してしまうのです。
このようなことが起こりえる、そして実際に起こっているため、ファクタリング会社としてはなるべくリスクを軽減させるために、同じ事業者との契約は数回までに留めるケースが多いのです。
だからこそ初めの話に戻りますが、1回あたりの契約でなるべく利益を上げたいと考え、手数料をできるだけ取りたいと考えるのです。
ライバル会社が多いから下げざるを得ない
ファクタリング会社としては、1回あたりの契約でなるべく多くの手数料を取りたいと考えるものですが、それは相見積もりをされない場合の話です。
日本には多くのファクタリング会社があり、どこも売掛債権を買い取りたいと考えています。そもそも売掛債権を買い取らなければ商売が始まらないためです。
そこで相見積もりをしているということが分かれば、手数料を下げてきます。もちろん限度はありますが、相見積もりをするのとしないのとでは、かなり手数料に違いが出ることでしょう。
手数料の相場は10%~30%
ファクタリングを利用する際に必要となる手数料の相場は、10%~30%です。
イメージとしては、もし100万円分の売掛金を売却したいと考えたとします。手数料が20%である場合、手数料は20万円であり手に入れられる現金は80万円となります。1000万円の債権であれば手数料は200万円であり、手に入れられる現金は800万円となるのです。
契約形態によって異なる手数料
手数料は、契約形態によって異なります。
ファクタリングには2社間契約と3社間契約の2つがあります。2者間の方が手数料が高くなります。3社間契約の場合は、取引先に通知されます。ところが2社間契約の場合は、取引先に通知されません。
これから先も取引先と関係を続けていきたいと考える事業者が多いため、2社間契約を選ぶ事業者は90%を超えています。
選ぶ会社によって異なる
どのファクタリング会社を選ぶのかによっても手数料は大きく異なります。
たとえば2社間契約で手数料10%の場合もありますし、30%である場合もあります。これは売掛債権や事業者の状況、さらにはファクタリング会社の考え方にもよります。
さじ加減で異なる
手数料はあくまでも相場であり、ハッキリと数字が決まっているわけではありません。
ファクタリング会社によって手数料の目安は決まっていることもありますが、そうではない場合も多いのです。
たとえば、ある事業者が売却したいと考えます。今日申し込みをするのと、次の日申し込みをするのとでは手数料が異なってくる可能性があるのです。またファクタリング会社に連絡をしたときに受付する担当者によっても手数料が異なってくることもあります。
絶対に避けたい3つのこと
ファクタリングを利用する上で、絶対に避けたいことがいくつかあります。
当サイトがもしファクタリングを利用するのであれば、少なくても以下の3つは避けると考えます。
避けたい3つのこと
- いつまでにお金が必要なのかを正直に言わない
- 相見積もりをしないのはNG
- 手数料の交渉を絶対にする
いつまでにお金が必要なのかを正直に言わない
ファクタリング会社のスタッフは「いつまでにお金が必要ですか?」と聞いてくることでしょう。
形式的な質問のように思えるかもしれませんが、この質問には深い意味があります。ファクタリング会社に期日を知られるということは、足元を見られてしまう可能性があるのです。
期日を知られる危険
ファクタリングを利用する事業者は、すぐに資金が欲しいと考えています。なぜならすぐにお金を手に入れないと倒産してしまう可能性があるためです。時間的に余裕があるのなら、他の資金調達方法を利用すればよいだけの話です。
「いついつまでにお金を調達する必要がある」という状況である場合が多いのです。
期日であるデッドラインをファクタリング会社に知られると、契約日をデッドラインの直前にされてしまう可能性があるのです。
直前に契約日を持ってくる意味は、他のファクタリング会社と相見積もりをする時間を取らせないためです。つまり「もう、このファクタリング会社と契約するしかない」という状況に追い込むのです。
その追い込まれた状況下で、急に手数料を上げてくるのです。
事業者としてはどうしようもない状況になります。倒産を選ぶか高い手数料でファクタリングを利用するのかの2択となってしまいます。
期日を知られた場合の対処法
もし期日を教えてしまった、知られてしまった場合には、期日直前の契約は避けたほうが良いでしょう。
「ここと契約しなければ後がない・・・」
という状況を作らないことです。
これにより、もし契約内容に不満がある場合だったとしても、他のファクタリング会社を利用できるだけの時間を確保することができるでしょう。
相見積もりをしないのはNG
相見積もりをしないのはあり得ない話です。
「相見積もりは絶対に大事」でもお話ししましたが、ファクタリングを利用する際に相見積もりをしないということは、大きな損を出してしまう可能性があるのです。
なぜなら「手数料がファクタリング会社によって異なるため」です。
手数料の交渉を絶対にする
ファクタリングを利用する際には、必ず手数料の交渉をしてください。
「ファクタリング会社によって異なる手数料」でも言及していますが、言葉は悪いですがなんとなく手数料を決めているファクタリング会社もあります。
つまりハッキリと数字が決まっていないのであれば、交渉次第では手数料を減らすことも可能なのです。
手数料を下げるための5つの方法
ファクタリングを利用するときの一番の重要なポイントが手数料です。
手数料が低ければ低いほど、調達できる金額は多くなります。そのため、手数料を下げる交渉はするべきですし、意外と下がるものです。問題はその交渉を行うかどうかでしょう。
手数料を下げるときに覚えておきたいこと
手数料を下げるためには以下の5つを意識してみるとよいでしょう。
5つの方法
- 他社と相見積もりをしていると知らせる
- 知識を身に付けておく
- 録音をする
- 期日は教えない
- 主導権を握る
必ずしも手数料が下がるとはいえませんが、何もしないよりはよいでしょう。
他社と相見積もりをしていると知らせる
ファクタリング会社としては売掛金を買い取れなければ商売が始まりません。そのためできる限り購入したいと考えています。
もし相見積もりをしていると知れば、他のファクタリング会社よりも低い手数料を提示してくる可能性は十分あります。どのくらい低い数字を提示してくるかはわかりませんが、基本的に交渉には応じてくることでしょう。
ただしあまりにも低い数字になることはありません。ファクタリング会社にとって手数料を下げることはリスクでしかないためです。
ちなみに相見積もり先を聞かれると思いますが、答える必要はありません。
知識を身に付けておく
ファクタリングに関する知識をある程度は身に付けておいた方がよいでしょう。
ファクタリング会社側は、言葉巧みに営業を行ってきます。偽りの情報を伝えてくることもあります。
そこである程度のファクタリングの知識を身に付けておくことで、偽りの話を見抜くことができます。それらを1つずつ指摘していくことが手数料に影響を与えることがあることでしょう。
録音をする
ファクタリング会社に連絡をした際に、録音しているという旨を伝え、話を録音しておくとよいでしょう。理由としては「初めて利用するから不安で」と伝えればよいと思います。
これによってファクタリング会社としても、おかしな内容の話をしにくくなります。また何かトラブルが起こったとしても、録音データが証拠となります。
もし録音を断ってくるようであれば、それは録音されては不都合な内容を話すつもりでいるということですので、そのようなファクタリング会社ははじめから選ばないほうがよいでしょう。
期日を教えない
資金が必要となる期日は教えないほうが良いでしょう。
ファクタリング会社側から「いつまでに資金が必要ですか?」という質問をされる可能性があります。これは期日を知るためです。その際に正直に答えてしまうと、「期日を知られる危険」でもお話ししたように、足元を見られてしまう可能性があります。
もし聞かれたとしても答える必要はありませんし、もし答えるのであれば「期日は〇〇日だがそれよりももっと早く現金を手に入れたい」と伝えるとよいでしょう。それに応じてこないのであれば、その段階で他社を選んだ方がよいでしょう。
主導権を握る
交渉全般に言えることですが、主導権を握るようにしたほうが良いです。言われるがままになっては絶対にいけません。
- 他のファクタリング会社を使ってもよい
- 他の資金調達を利用してもよい
このくらいの姿勢で交渉したほうが良いかもしれません。
提出書類によって「強気の交渉をしてきてはいるが、この事業者の会社は資金繰りが悪い」というのは分かってしまいます。そこで「親族から資金提供を受けることも可能」であったり、「不動産などの資産があるから万が一の時には乗り切れる」というある意味ハッタリを仕掛けてみるのも1つの手です。
ここで証拠を提示するよう求められるケースもありますが、それを提出する義務はありません。
専門家に間に入ってもらう
5つの方法を紹介してきましたが、正直一番良い方法と考えられるのは専門家に仲介してもらうことだと思います。
たとえば税理士やファイナンシャルプランナーなどの士業です。弁護士でもよいかもしれません。
資金調達に関する知識がある専門家に仲介に入ってもらうことで、ファクタリング会社側としても下手なことは言えなくなります。