ファクタリングの仕組み自体は、それほど難しいものではありません。
- ファクタリングの仕組みは単純。持っている売掛金を売却するだけ。
- ファクタリングなら誰にも知られずに資金調達できる。
- ファクタリングでの資金調達は借金ではない。
インターネット上を調べてみると、ファクタリングの仕組みをイラストを利用して解説しているサイトをいくつか見つけることができると思います。しかしイラストを見ても、ファクタリングの仕組みをいまいち理解できなかった事業者もいるかと思います。
そこでこのページではファクタリングの仕組みを「対話文形式」で紹介していきます。
対話文に登場する人物を自分に置き換えることで、簡単に理解することができることでしょう。
Contents
ファクタリングは売掛債権を売って資金調達すること
ファクタリングを一言で説明すると「事業者のの持っている売掛債権をファクタリング業者に売ること」です。
ファクタリング会社
売却するための売却益を得ることができます。つまり資金調達できるというわけです。
売掛債権とは将来的に入ってくる売り上げをもらう権利のことです。つまり売掛金のことです。取引先に商品やサービスを提供すればお金をもらえますよね?だから経営が成り立っていると思います。
つまり取引先に商品やサービスを提供した段階で、お金(売り上げ)をもらう権利を持っているわけです。それを「売掛債権」と言います。
その売掛債権を売る(譲渡する)ことを「ファクタリング」と言います。売るわけですから売った分の代金をもらうことができます。
多くのサイトでファクタリングの仕組みを「図解」で説明していますが、いまいち分かり辛いと思った人もいることでしょう。
ここでは「対話文形式」で説明してみました。自分を「事業者」の立場に置き換えて読み進めてみると分かりやすいかと思います。
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
売掛金の金額は100万円ということですので、手数料を差し引いた90万円で弊社が購入させてもらうことができます。
事業者
しかし取引先にファクタリングを利用したことが分かってしまうのではないか?それでは今後の取引に大きく影響してしまうのだが・・・。
ファクタリング会社
事業者
再来月まで待つことができれば、取引先への売掛債権があるため100万円全額を受け取ることができました。しかし今月資金ショートしてしまう可能性があったのです。銀行から融資を受けようにも、審査に時間がかかり今すぐ資金調達できません。
しかしファクタリングを利用することで、将来的に入ってくる売掛金をすぐに手にすることができました。これによりすぐに資金ショートを回避することができました。
これにより経営を立て直すことができ、さらには銀行融資を受けるまでの時間を稼ぐこともできました。
売掛債権を「モノ」と考えると分かりやすい
さらにもっと分かりやすく表現します。
あなたは売掛債権という「モノ」を持っています。2ヶ月後に100万円で売れる予定です。しかし今お金が必要になってしまいました。
そこで80万円なら買ってもいいよという人が現れました。今すぐ現金が欲しいあなたは80万円であなたの持ち物である売掛債権を売ることにしました。
これにより手元に80万円の現金を手にすることができたのです。
このように売掛債権を売ることで現金を調達することをファクタリングといいます。つまり売掛債権さえあれば、現金を調達することは可能なのです。逆に借金ではないため、売掛債権を持っていなければ、つまり売るものがなければファクタリングを利用することはできません。
2種類のファクタリングが存在する その違いとは?
ファクタリングには2種類あります。「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」です。どちらかの形態で契約することになるのですが、この2つの契約形態には明らかな違いがあります。
結論から言いますと、ほとんどの場合が「2社間ファクタリング」を利用します。その理由を説明したいと思います。
2社間ファクタリングの仕組み
まず2社間ファクタリングについて紹介していきます。
2社間ファクタリングの最大のメリットは「ファクタリングを利用したことが売掛先に分からない」という点です。そのため今後も、今まで通り仕事のやり取りを行なうことができます。
登場するのは「事業者」と「ファクタリング会社」の2社になるため、2社間ファクタリングと表現されます。
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
これがいわゆる「2社間ファクタリングの基本的な流れ」です。
基本的に登場するのは事業者とファクタリング会社のみです。売掛金を支払うはずの取引先(売掛先)は表面上登場しません。
最も肝心なこととして事業者がファクタリングを利用したことは、取引先に知られることはありません。これが「2社間ファクタリングの基本的な流れ」の最大の利点です。
ただし3社間ファクタリングより手数料が高くなるというデメリットがあります。
メリット |
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デメリット |
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3社間ファクタリングの仕組み
次に3社間ファクタリングについて紹介していきます。
3社間ファクタリングの最大のメリットは「手数料が安くなる」という点です。ただし取引先にファクタリングを利用したことが通知されてしまうため、今まで通り仕事のやり取りが今後行えるかどうか不安な面があります。
登場するのは「事業者」と「ファクタリング会社」、そして「取引先」の3社になるため、3社間ファクタリングと表現されます。
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
ファクタリング会社
取引先
取引先
ファクタリング会社
これがいわゆる「3社間ファクタリングの基本的な流れ」です。
2社間ファクタリングでは事業者がファクタリングを利用したことを取引先に通知する必要はありませんでした。しかし3社間ファクタリングの場合は、ファクタリング会社より取引先へ通知されます。つまり事業者がファクタリングを利用したことを取引先が知ることとなるのです。事業者がファクタリングを利用したことを知った取引先はどのように思うのでしょうか?ファクタリングを利用したということは資金繰りが上手くいっていないということであり、資金繰りが上手くいっていない会社との取引を今まで通り継続させていく判断に至るのでしょうか?
これが3社間ファクタリングが敬遠される理由です。
ただし大きなメリットとしては、2社間ファクタリングに比べ手数料が安く抑えられることです。
メリット | ・2社間に比べ手数料が安い。 |
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デメリット | ・売掛先にファクタリングを利用したことを知られるため、今後の取引に影響を及ぼす可能性がある。 ・即日での資金調達は難しい。 |
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2社間ファクタリングでの契約が90%以上の理由
ファクタリング契約には「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つがあるという話をしてきました。
どちらにするのかはファクタリングを申し込む事業者が基本的には決めるのですが、その90%以上が「2社間ファクタリング」を選択します。
なぜなら取引先にファクタリングを利用したことを知られないためです。
ファクタリングを利用したことが取引先に知られたらどうなってしまうのか?
もし取引先がファクタリングを利用したことを知れば、どのようなことになるでしょうか?いくつか考えられる可能性を紹介したいと思います。
取引先
今後こちらからの注文に対して円滑に動いてくれなくなる可能性がある。他の業者を探そう・・・。
と思われてしまう可能性があります。その他としては、
取引先
このような感じで、どんどん周囲に広まってしまう可能性が考えられるのです。これにより取引先を一気に失くしてしまう可能性も。取引先があるからこそ、仕事をしていけます。
このようなリスクを無くすためにも多くの人は「2社間ファクタリング」を利用し、取引先に知られないようファクタリングで資金調達を行なうのです。
期日までにお金を戻さなければ債権譲渡が売掛先に知られてしまう
2社間ファクタリングで契約をした場合、取引先へ債権が譲渡されたことは通知されません。それが2社間契約の魅力であり、契約書の中に明記してあります。
ところが、契約書に記載されている期間内にファクタリング会社にお金を戻すことができなければ、ファクタリング会社より売掛先に対して債権譲渡通知が送られることになります。つまり取引先にファクタリングを利用して資金調達をしたことがわかってしまうのです。さらにその前後に、債権の登記を行なわれてしまうことでしょう。
そのため、もし取引先に知られずにファクタリングで資金調達をしたいと考えているのであれば、契約書の内容、とくに期日はしっかりと守ったほうが良いでしょう。
連絡にはしっかり対応
ファクタリング会社にとって、事業者から買い取った売掛債権を法務局にて登記するのは手間です。そのため、登記せずにいる場合もあります。
しかし、契約後に不審なことがあった場合には、ファクタリング会社としては債権を持つ権利者であることを主張するためにも、登記を行うことでしょう。
不審な点というのは、連絡しても連絡に出ないとか、期日が守られないとか、同じ債権を他のファクタリング会社に譲渡している疑いがある場合などです。
債権が登記されることで、あくまでも可能性の話ではありますが、取引先に資金調達をしたことがわかってしまう可能性が出てきます。また先ほど話した通り、ファクタリング会社からの連絡に対応しないや期日が守られないという場合には、ファクタリング会社から取引先に通知をする可能性が十分にあります。
そうでもしない限りファクタリング会社としては、大きな損失を出してしまう可能性があるためです。
取引先に資金ショートを知られるくらいなら初めから交渉してみるのも1つの手
あくまでも1つの考え方ですが、取引先に資金ショートを知られても問題ないということであれば、取引先と交渉しファクタリングを利用しないで資金問題を解決することも可能です。
事業者
取引先
事業者
取引先
実はこの方法が一番良い方法かもしれません。ファクタリング会社を介す必要がないためです。ただしですが、あくまでも「取引先に資金ショートの事実を知られても良い場合。今後の取引に影響が出ない場合。」ですが。
- すぐに現金が手に入る(事業者)
- ファクタリング業者を利用する必要がない(事業者)
- 借金をする必要がない(事業者)
- 売掛債権がなくなる(事業者)
- 事業者に支払う金額が安くなる(取引先)
この方法が使えるのは、「事業者と取引先が切っても切り離せないような間柄」くらいなものです。たとえば親族であるとか、昔からの知り合いであるとか、互いに他に替えの効かない状態であるとかです。
しかし現実問題としてこの方法を使える人は限られてくるでしょう。そのため手数料を支払ってでもファクタリングを利用する人が後を絶たないのです。
ファクタリングは借金にはならない 貸借対照表・信用情報は無傷のまま
事業者
ファクタリング会社
ファクタリングで資金調達しても借金とはなりません。そもそも事業者の持っている持ち物を売って現金を調達しているわけであり、お金を借りているわけではないためです。つまり貸借対照表には借金の記載はされませんし、信用情報に傷がつくこともありません。
そのため、金融機関から大きな融資を考えている事業者にとっては好都合でしょう。
注意!ファクタリングは事業者限定のサービスであり借金ではない
ファクタリングは事業者限定のサービスです。事業者とは会社経営者のことを指します。個人事業主も事業者に含まれます。
そのためお給料をもらって働いている人たちには対象外のサービスとなります。
勘違いをしている人が多い
なぜこのような話をするのかと言いますと、ファクタリングを「お金を借りるサービスであると勘違いをしている人が多いため」です。
まず冒頭からお話ししている通り、ファクタリングは売掛債権を売却することで資金調達する方法です。この「売掛債権」は事業者しか持っていないものです。そのため事業者以外は利用することができません。
次にそもそもファクタリングは借金ではありません。会社が持っているモノ、ここでは売掛債権を売ることで資金調達するのです。ですから「借りる」わけではなく「売る」ことを目的としたサービスなのです。
個人で利用できる給与ファクタリングがあるにはあるが・・・
個人でも利用できるファクタリングがあることはあります。それが「給与ファクタリング」です。
参照 給与ファクタリング
給与ファクタリングの内容を簡単に言うと、「会社からもらう給与の権利をファクタリング会社に売却する」というサービスです。
ただしファクタリング業界内でもグレーと言われているため、正直利用はおススメしません。
ファクタリングの仕組みを理解した上で利用しよう
最後にファクタリングの仕組みを簡潔におさらいします。まずファクタリングを利用する際の最低条件です。
- 事業者である。(法人・個人どちらも)
- 売掛債権がある。
- 売掛債権金額内での資金調達を希望している。
次にファクタリングには2種類あります。どちらかを選ぶこととなります。
- 2社間ファクタリング(手数料が10%~30%)
- 3社間ファクタリング(手数料が5%~10%)
90%以上の事業者が「2社間ファクタリング」を選びます。手数料は高くなりますが、売掛先にファクタリングを利用して資金調達したことがわからないため、今後の取引に影響を与えないためです。
次にファクタリングのメリットです。
- 借金にはならない
- 売掛先に資金ショートの事実を知られない
- 即日で資金調達可能
次にファクタリングのデメリットです。
- 手数料が高い
- 事業者でないと利用できない
- 売掛債権がないと利用できない
- 売掛債権の金額内でしか資金調達ができない
あくまでもファクタリングは資金調達方法の1つです。他にも資金調達の方法は沢山あります。極論かもしれませんが、デメリットのない資金調達方法は存在しません。
参照 9つの資金調達方法
売掛債権を持っている状態であれば、そしてなるべく早く資金調達をしたいと考えているのであれば、利用してもよいかもしれません。
それぞれの資金調達方法のことをしっかりと理解した上で、ファクタリングが資金ショートを防ぐための有効な方法と判断できた場合においては、利用を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
ファクタリングで資金調達とは?
ファクタリングとは、会社の保有する売掛債権を売却して資金調達することです。
ファクタリングには主に2種類あるというが
ファクタリングを利用する際には、「2社間ファクタリング」、もしくは「3社間ファクタリング」での契約となります。
90%以上の事業者が2社間ファクタリングを利用するとされるが
90%以上の事業者が、2社間ファクタリングでの契約を選択します。売掛先に通知が行かないためです。
取引先にファクタリングを利用したことは知られるか?
2社間ファクタリングであれば、取引先にファクタリングを利用したことは知られません。つまり資金面で不安があるということは知られません。
ファクタリングは借金にはならないとされるが
ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達します。つまりお金を借りているわけではありません。そのため借金の扱いにはなりません。
ファクタリングを利用する条件は?
ファクタリングは「売掛債権を持っている事業者限定」のサービスです。「事業者」とは「法人経営者」ならびに「個人事業経営者」のことを指します。個人事業の取り扱いをしていないファクタリング会社も存在します。