塗装業のファクタリング|塗料値上げで資金が足りないときの使い方と、使えない代金の見分け方

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内装業でもファクタリングは使えます。内装業の資金難は、「仕事がないから苦しい」よりも「仕事が増えるほどお金が足りなくなる」形で起きることが多く、ファクタリングはその時間差を埋める方法として役に立ちます。
ファクタリングは、入金待ちの工事代金(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらい、先に現金にする方法です。借入ではないので返済はなく、審査では自社の決算よりも「代金を払う相手がきちんと払える会社か」が中心に見られます。
ただし、内装業では代金の相手によって使いやすさが大きく変わります。ゼネコンなど元請からの下請代金は使いやすく、小さな店舗のオーナーや個人のお客様からの代金は審査が厳しくなりやすいのです。また、手数料は融資の利息よりかなり高くなります。融資が間に合わないときに、工事を止めないために使う方法だと考えてください。
内装会社の社長
ファクタリング会社
内装業の経営者が直面している資金難
内装業の資金難は、主に次の3つから生まれています。
- 受注が増えるほど、立て替えるお金が増える
- 下請・孫請の立場だと、入金がさらに後ろにずれる
- 週休2日の広がりなどで、工期が延びやすい
内装工事業の倒産が増えている
東京商工リサーチによると、2025年1〜10月の内装工事業の倒産は145件で、前の年の同じ時期より11.5%増えました。2013年以来の水準になる見込みとされています。
参照 東京商工リサーチ「内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~」
注目したいのは、この調査が「内装工事業の売上や利益が上向く中で、倒産が増えている」と指摘している点です。理由として挙げられているのが、受注が急に増えると資金の需要も膨らみ、資金の調達が追いつかずに倒産に追い込まれるケースです。倒産は小さな会社や零細の会社を中心に増えています。
また、東京商工リサーチの別の調査では、2025年の建設業の倒産のうち、内装・塗装・とびなど専門の工事を行う「職別工事業」が814件となり、ゼネコンなどの「総合工事業」の774件を、2000年以降で初めて上回りました。
参照 東京商工リサーチ「止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く」
受注が増えるほど、立て替えるお金が増える
内装工事では、クロスや床材、ボードなどの材料を仕入れ、職人さんや外注先に支払ってから、工事が終わったあとに代金を受け取ります。現場が1つなら何とかなっても、3つ、4つと同時に動けば、立て替えるお金はその分だけ膨らみます。
たとえば、1現場300万円の内装工事で、材料費と外注費・人件費に1現場あたり250万円を先に払うとします。次の数字は説明のための仮の例です。
| 同時に動く現場の数 | 売上 | 先に立て替えるお金 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 1現場 | 300万円 | 250万円 | 50万円 |
| 3現場 | 900万円 | 750万円 | 150万円 |
| 5現場 | 1,500万円 | 1,250万円 | 250万円 |
利益は現場の数に比例して増えます。しかし、代金が入るまでの間に用意しなければならないお金も、同じように増えていきます。5現場が同時に動けば、1,250万円を手元で用意しなければなりません。
帳簿の上では儲かっているのに、口座のお金は足りない。内装業の経営者がぶつかる資金難の多くは、この形をしています。
下請・孫請の立場だと、入金がさらに後ろにずれる
先ほどの東京商工リサーチの調査では、内装工事の元請は小口が多く、大きな工事では下請や孫請として入ることが一般的だと説明されています。
建設業法では、元請は発注者から代金を受け取ってから1か月以内に下請へ支払うことになっています。つまり、ゼネコンが発注者から代金を受け取り、それが1次下請へ、さらに2次下請へと順に流れてくる間、内装会社の入金は待たされることになります。立場が下になるほど、待つ時間は長くなりやすいのです。
建設業法の支払いのルールや、手形の廃止など建設業全体に関わる話は、建設業のファクタリングの記事で詳しく解説しています。
週休2日の広がりなどで、工期が延びやすい
同じ調査では、働き方改革で週休2日制への取り組みが強まり、工期が延びるリスクが高まっていることも指摘されています。
工期が延びれば、引渡しも代金の入金も後ろにずれます。その間も、家賃や事務所の経費、社員の給料は毎月出ていきます。また、これは私見ですが、内装工事は建物の工程の後半に入ることが多いため、前の工程が遅れると、そのしわ寄せを受けやすい立場でもあると考えています。
内装会社の社長
資金が足りないとき、どこからお金を用意するか
内装会社が資金を用意する方法は、主に4つあります。考える順番は、コストの低いものからです。
銀行や日本政策金融公庫の融資
融資は、ファクタリングより資金を用意するコストが低い方法です。受注が伸びている時期は、その実績を材料に、運転資金(日々の支払いに使うお金)の融資を相談しやすい時期でもあります。まずは取引のある金融機関に相談するのが自然です。
ただし、申し込んでからお金が入るまでに時間がかかることが多く、急ぎの支払いには間に合わない場合があります。また、受注の伸びに融資の枠が追いつかないこともあります。
元請との支払条件の交渉
工事の途中で出来高に応じて代金を払ってもらう(出来高払い)よう、元請に交渉する方法です。入金を分けてもらえれば、立て替える額を減らせます。
ただし、下請や孫請の立場では、交渉できる余地が限られることも多いはずです。
店舗のオーナーから直接受ける工事は、着手金を取り決める
店舗やオフィスのオーナーから直接内装工事を受ける場合は、契約のときに着手金や中間金を取り決める方法があります。工事の前に一部を受け取れれば、材料の仕入れに充てられます。
あとで説明するように、小さな店舗のオーナーからの代金はファクタリングで売りにくいことがあります。そうした取引ほど、契約の段階で支払いの時期を決めておくことが資金繰りの守りになります。
ファクタリング
入金待ちの工事代金を買い取ってもらい、先に現金にする方法です。手数料は高いものの、融資が間に合わないときや、受注の伸びに融資が追いつかないときの受け皿になります。
| 方法 | お金が入るまで | 返済 | コスト | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 融資 | 比較的長い | あり | 低い(利息) | 時間に余裕があり、借入の枠もある |
| 支払条件の交渉 | 交渉しだい | なし | かからない | 元請と話し合える関係がある |
| 着手金・中間金 | 契約の取り決めしだい | なし | ほぼかからない | 店舗オーナーなどから直接受ける工事 |
| ファクタリング | 比較的短い | なし | 高い(手数料) | 急ぎの支払いがある、融資が追いつかない |
なぜ内装業にはファクタリングが合うのか
内装業にファクタリングが合う理由を一言でいえば、こうなります。
「利益が出ていること」と「お金が足りていること」は、まったく別のことです。
内装業の資金難の多くは、赤字だから起きるのではありません。利益は出ているのに、入金が遅いために、手元のお金が追いつかないことから起きています。ファクタリングは、この「入金の遅さ」だけを解決する方法です。
黒字でも、成長が速いとお金が尽きる
この現象は、海外の経営学でも古くから指摘されています。
アメリカの経営誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」に2001年に掲載された、ニール・チャーチル氏とジョン・マリンズ氏の論考では、利益の出ている会社でも、速く成長しすぎると現金が尽きることがあると指摘されています。そのうえで、手元の現金が尽きない範囲で成長できる速さ(自己資金で賄える成長率)を計算する考え方が示されています。
この考え方では、成長の速さを左右するのは主に次の3つです。
- 仕入れや支払いから、代金を受け取るまでの期間
- 売上を1円増やすために、先に必要になるお金
- 売上1円あたりに残るお金
内装業にあてはめると、「代金を受け取るまでの期間」が長く、「先に必要になるお金」が大きい業種だといえます。
これは海外の論考で、日本の内装業を調べたものではありません。ただ、先ほどの東京商工リサーチの調査も「受注の急拡大で資金の調達が追いつかずに倒産するケース」を指摘しており、同じ方向のことが日本の倒産データでも起きていると読み取れます。
この考え方でいえば、成長を続けながらお金を尽きさせない方法は2つです。成長の速さを抑えるか、代金を受け取るまでの期間を縮めるか。ファクタリングは、後者を手数料と引き換えに実現する方法です。
ゼネコンからの下請代金は、審査で評価されやすい
ファクタリング会社は、買い取った代金を最終的に払う相手(売掛先)の信用で審査をします。内装会社が下請や孫請として入る大きな工事では、代金を払う相手はゼネコンや大手の内装会社であることが多く、その信用で審査を受けられます。
つまり、下請の立場で入金を待たされている代金ほど、ファクタリングでは売りやすいという面があります。入金の遅さという弱みが、払う相手の信用という強みで補われるわけです。
店舗オーナーや個人のお客様からの代金は、審査が厳しくなりやすい
一方で、小さな店舗のオーナーや個人のお客様から直接受けた工事の代金は、事情が違います。
公式サイトで「売掛先が個人(個人事業主)の債権については買取対象外」と明記しているファクタリング会社もあります。理由として、法人に比べて信用力が劣ること、事業の実態を確かめにくいことが挙げられています。
参照 日本中小企業金融サポート機構「売掛先が個人でも大丈夫?個人事業主は利用できる?」
扱いは会社によって違いますが、相手が個人事業主の店舗オーナーや個人のお客様の場合は、売れないか、審査が厳しくなると考えておくのが現実的です。
| ゼネコン・元請からの下請工事 | 店舗オーナー・個人から直接受ける工事 | |
|---|---|---|
| 代金を払う相手 | 会社(規模が大きいことが多い) | 小さな会社、個人事業主、個人 |
| ファクタリング | 使いやすい | 使えないか、審査が厳しくなりやすい |
| 資金繰りの守り方 | ファクタリング、支払条件の交渉 | 着手金・中間金の取り決め |
内装会社の社長
ファクタリング会社
ファクタリングを使うと、資金繰りはどう変わるか
ファクタリングを使うと、受注が増えても手元のお金が尽きにくくなります。その代わり、手数料の分だけ利益が減ります。
2社間と3社間、どちらを選ぶか
ファクタリングには、元請に知られずに使える「2社間」と、元請の承諾を得て進める「3社間」があります。2社間は手数料が高くなりやすく、3社間は手数料が低くなりやすい代わりに、元請に知られます。それぞれの違いはファクタリングの仕組みの解説で詳しく説明しています。
申し込みから入金までの流れ
内装会社の社長
ファクタリング会社
内装会社の社長
ファクタリング会社
一般的な流れは次のとおりです。細かな手順や必要書類は会社によって違います。
- ファクタリング会社に相談し、代金の相手と金額を伝える
- 契約書・注文書・請求書・通帳のコピーなどを出す
- 審査を受け、手数料の見積もりをもらう
- 条件に納得できたら契約する
- 手数料を差し引いた金額が振り込まれる
- 2社間の場合は、元請から入金された代金をファクタリング会社へ渡す
使う前と後を比べてみる(仮の数字)
上の会話の、ゼネコンの現場の代金400万円(入金は50日後)で考えてみます。ここでは説明のため、手数料を仮に10%とします。実際の手数料は会社や条件で大きく変わるので、この数字は相場ではありません。
| ファクタリングを使わない | ファクタリングを使う | |
|---|---|---|
| 今使えるお金 | 0円(50日待つ) | 360万円 |
| 最終的に受け取る金額 | 400万円 | 360万円 |
| 新しい2現場 | 材料を押さえられず、着工が遅れるおそれ | 材料を押さえて予定どおり着工できる |
40万円の手数料で、新しい2現場を予定どおり動かせることになります。その2現場の利益が手数料を十分に上回るなら、使う意味はあると考えられます。
一方で、この手数料を年の利率に直すと、約73%(10% × 365日 ÷ 50日)にあたります。ファクタリングは借入ではないので利息とは違いますが、コストの重さを比べる目安にはなります。
ファクタリングは「利益の一部を払って、成長の速さを買う」方法です。次のような場面に絞って使うものだと考えてください。
- 手数料を払っても、新しく受ける現場で利益が残る見込みがある
- 資金が足りずに仕事を断れば、元請との今後の取引に響く
- 融資の申し込みはしているが、入金までに間に合わない
一人親方の内装職人の場合
一人親方の内装職人でも、元請に対する工事代金があれば、ファクタリングを使える場合があります。
ただし、2社間ファクタリングで求められることがある「債権譲渡登記」は、法務省によると譲る側が法人の場合に限られ、個人は利用できません。
そのため一人親方は、登記をせずに取引できる会社や、個人事業主・少額の代金に対応している会社を選ぶ必要があります。
一人親方
使う前に確認しておきたい注意点
内装業でファクタリングを使う前に、次の4つを確かめておきましょう。
代金の相手は誰か
内装業でいちばんのつまずきは、代金の相手です。テナントの改装工事や、退去時の原状回復工事(借りていた部屋を元の状態に戻す工事)では、代金を払うのが誰かが工事によって違います。ビルのオーナーなのか、管理会社なのか、入居している店舗なのか。申し込む前に、請求書の宛先が誰になるかを確認してください。
受注の伸びに、手数料が追いついてこないか
成長の資金としてファクタリングを使い続けると、売上が伸びても利益が手数料で削られていきます。受注が増えている時期こそ、ファクタリングでつないでいる間に、融資の枠を広げる相談や支払条件の見直しを進めておくことが大切です。ファクタリングは資金繰りの「つなぎ」であって、「土台」にはなりません。
違法な業者ではないか
金融庁は、ファクタリングを装った違法な貸付について注意を呼びかけています。たとえば、代金の買取価格が著しく低い場合や、元請が払えなかったときに売った側が代わりに払わなければならない(償還請求権がある)場合は、実質的に貸付にあたる可能性があるとしています。
契約書に「償還請求権なし」と書かれているか、手数料の内訳が説明されているかを確かめてから契約してください。
工事の契約に、代金を譲ることを禁じる決まりがないか
工事請負契約には、代金などの権利を第三者に譲ることを禁じたり、相手の承諾を求めたりする決まり(譲渡制限特約)が入っていることがあります。民法の改正で、こうした特約があっても代金を譲ること自体は無効にならなくなりましたが、元請との関係に関わるので注意が必要です。詳しくは建設業のファクタリングの記事で解説しています。
内装業に合ったファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶときは、手数料の安さだけでなく、内装業の取引に合っているかを見ることが大切です。次の5つを確認してください。
- 建設業・内装業の代金を扱った経験があるか:重層的な下請の構造や出来高払いを理解している会社のほうが、話が早く進みます
- どんな相手の代金なら買い取るか:ゼネコン、内装会社、管理会社など、自社の取引先が対象になるかを最初に確認します
- 繰り返しの利用や、複数の代金をまとめた相談に対応しているか:現場が同時にいくつも動く内装業では、使い勝手に関わります
- 契約書に「償還請求権なし」と明記されているか:違法な業者を避けるためにも欠かせません
- 2〜3社から見積もりを取る:手数料は会社と条件で大きく変わります。比べてから決めましょう
当サイトでは、選び方の考え方にもとづいておすすめのファクタリング会社3社を紹介しています。簡単な質問に答えて、自社に合う会社を探せる診断もあるので、見積もりを取る先を絞り込むときに使ってみてください。
よくある質問
テナントの店舗から直接受けた改装工事の代金は売れますか?
店舗を運営しているのが会社か個人事業主かで変わります。小さな会社や個人事業主の場合は、売れないか、審査が厳しくなることが多いと考えておきましょう。こうした工事では、契約のときに着手金や中間金を取り決めておく方法が向いています。
原状回復工事の代金はどうですか?
請求書の宛先がビルのオーナーや管理会社など会社であれば、相談の対象になります。大事なのは工事の種類ではなく、代金を払う相手が誰かです。
受注が増えて資金が足りないだけで、赤字ではありません。それでも使えますか?
使える可能性があります。黒字で受注が伸びているのに入金が追いつかない状態は、ファクタリングが合いやすい場面です。ただし、審査の基準は会社ごとに違うため、通らないこともあります。
元請に知られずに使えますか?
2社間ファクタリングであれば、基本的に元請に知られずに使えます。ただし、工事の契約に譲渡制限特約がある場合などは、扱いが変わることがあります。契約書を用意して相談してみてください。
一人親方でも使えますか?
元請に対する代金があり、個人事業主に対応している会社であれば、使える可能性があります。個人は債権譲渡登記を利用できないため、登記をせずに取引できる会社を選ぶ必要があります。
まとめ
内装業の資金難の多くは、赤字だから起きるのではありません。受注が増えるほど、代金が入る前に立て替えるお金が増えていく。下請や孫請の立場なら、入金はさらに後ろにずれる。工期が延びれば、それも待つ時間になる。利益は出ているのに、お金が足りない。内装工事業の倒産が増えている背景には、この構造があります。
ファクタリングは、入金待ちの代金を手数料と引き換えに先に現金にし、その時間差を埋める方法です。特に、ゼネコンや元請からの下請代金は、払う相手の信用で審査を受けられるため使いやすい代金です。反対に、店舗オーナーや個人から直接受ける工事は、着手金や中間金で守るのが現実的です。
手数料は融資より高く、使い続ければ利益を削ります。それでも、「資金が足りずに新しい現場を断る」「材料を押さえられずに着工が遅れる」という場面では、ファクタリングは成長を止めないための有力な選択肢になります。
もし今、受注は増えているのに支払いが苦しいなら、まずは元請との工事の契約書と請求書をそろえてください。そのうえで診断で自社に合う会社を絞り込み、2〜3社から見積もりを取って比べてみましょう。
内装会社の社長
ファクタリング会社



