「商品の納品したのに売掛先から売掛金が入ってこない。売掛金が入ってこなければ商品を生産することができないし、なによりも資金ショートしてしまう」
このような経験をしたことがある人も少なくないことでしょう。
このような場合、ファクタリングは非常に有効な資金調達方法となります。
資金調達方法として便利なファクタリングですが、契約するときに「償還請求権」をどのようにするのかにより、思わぬ損をしてしまう可能性があります。
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資金が回らなければ生産がストップし売り上げが立たない
多くの事業の場合、「原料を仕入れ、加工し、商品として卸す。」というのが一連の流れになっているかと思います。このサイクルの一部が滞ってしまうと、資金難に落ち込んでしまいやすくなります。
原料を仕入れ、加工し、商品として卸した段階では、事業としてはマイナスです。原料の仕入れにもコストがかかっていますし、加工するときにも当然コストがかかっているためです。
できあがった商品を卸先に卸し、卸先から商品代金が入ってきた段階で売り上げが立ちます。
問題点としては、商品を卸してすぐに商品代金が入金されるわけではないということです。
すぐに売り上げが入ってくればよいが・・・
卸した商品代金、つまり売掛金がすぐに入ってくれば、それほど心配しなくてもよいことでしょう。
ところが卸先から商品代金が入ってくるのは、卸先の都合によるところが大きいことでしょう。多くの場合、売掛金が卸先から入金されるのに1ヶ月~3ヶ月ほどの時間がかかることも珍しくありません。
事業者
事業資金がある程度確保されている会社であれば、その間も商品を作り続けることができるかもしれません。しかし売り上げ予定通りに入ってこないと、商品を生産することができない会社も少なからずあるのです。
商品を生産できなければ、さらに先の売り上げを立てることができません。売掛金があるのに今現金がないため倒産してしまう「黒字倒産」の危険を招きかねないのです。
黒字倒産を避けるためにも、事業者は事業資金を調達することを考えます。
資金調達の方法は複数ある おススメはファクタリング
事業資金を調達する方法はいくつかあります。会社の状況などにより一概に何がベストなのかとは言い切れないのですが、多くの人は金融機関からの融資を真っ先に思いつくことでしょう。そのほかにも補助金や助成金といった方法があるかもしれません。
参照 事業資金の調達方法
しかしこれらの資金調達方法には「時間がかかる」という弱点があります。「今すぐ」には対応していないのです。今すぐに対応している資金調達方法としてビジネスローンが挙げられます。しかし「事業者が連帯保証人になる」という弱点があります。
金融機関からの融資は審査に時間がかかるのが弱点
事業資金を調達する方法として、まず思いつくのが「金融機関からの融資」でしょう。ところが金融機関から資金調達するためには厳しい審査をパスしなければなりません。
金融機関にもよりますが、審査結果が出るまでに数週間から数ヶ月は待つ必要があります。
また補助金や助成金を利用しようと考える人もいるでしょう。しかしやはりこの方法も申請したのちに長い時間待つ必要があります。
事業者
ビジネスローンの連帯保証人はリスクが大きい
一方、ビジネスローンであれば比較的早く資金調達をすることが可能です。ところが事業者本人が連帯保証人にならなければいけないことがほとんどです。
事業者
すぐに資金調達可能 担保や保証人は必要ない!
「すぐに資金調達することができ、さらには担保や保証人が必要ない資金調達方法」として有効なものが「ファクタリング」です。
ファクタリングは、他の資金調達方法にはない多くのメリットを持っています。
- その日のうちに審査可能
- 即日で資金調達可能
- 担保や保証人は不要
- 信用情報は傷がつかない
- そもそも借金ではない
※状況によって多少異なることもあります。
ファクタリングは審査に時間はかかりませんし、審査に担保や保証人を用意する必要もありません。さらに審査に通れば、その日のうちに資金調達まで完了することも可能です。売掛債権を売却することで資金調達するため、借金ではありません。借金ではないため信用情報も傷つきません。
金融機関からの融資や補助金、助成金、さらにはビジネスローンで発生するデメリットをすべて解消してくれる資金調達方法なのです。
ファクタリング会社
もちろん弱点もある
ファクタリングがまるで万能な資金調達方法に思えるような説明をしてきましたが、残念ながら万能な資金調達方法というのは存在しません。
そもそもなのですが、ファクタリングは経営者向けのサービスとなります。法人の経営者であったり個人事業主対象ということです。そのため個人(サラリーマン)が利用することはできません。
次に売掛債権が無ければ利用することができません。売掛債権を売却することで資金調達するサービスだからです。
さらに手数料は比較的高めに設定されています。
売掛金を即現金化 スピード感は他を圧倒!
ファクタリングは売掛債権を売却することで資金調達する方法です。この売掛債権を購入するのは民間のファクタリング会社です。
審査はありますが、一般的な金融機関などで行われる審査とはポイントが異なります。
簡単に言うと「購入した売掛債権は間違いなく現金化することができるのか?」という点が最も重要な審査ポイントとなります。それさえわかれば、すぐにでも買い取ってくれます。多くのファクタリング会社が審査にかける時間は数時間、早ければ1時間以内に審査結果は出ます。
そして資金を振り込んでくれるまで即日~3営業日程度となっています。
一般的に思いつく資金調達の場合、数週間から数ヶ月時間が必要なのに対し、ファクタリングの場合、早ければ即日で資金調達が可能となります。この圧倒的なスピード感で経営のピンチを救うこととなるため、多くの経営者に支持されているのです。
参照 ファクタリング会社一覧
弱点を挙げるとするならば、「売掛債権がなければ利用できない」という点でしょう。
ファクタリング会社
ファクタリングの審査を緩いと言われるが真意は?
「ファクタリングの審査は金融機関の審査に比べ緩い」と表現することがありますが、これは事業者の状況によって異なるため一概には言えません。一般論からすると緩いのは確かです。
なぜ回りくどい言い方をしているのかというと、ファクタリングの審査自体は金融機関の審査に比べたら緩いと言えます。ただし審査のポイントが異なります。そのため一概にどちらの審査の方が緩いとは言えません。
次に、ファクタリングの場合、審査を受けるためには最低限クリアしなければいけない条件があるのですが、それをクリアできない事業者が非常に多いです。その点だけにフォーカスを当てるとすると、厳しいと表現するのかもしれません。
金融機関 VS ファクタリング
金融機関で融資をしてもらう際には審査を受けます。その際に必要なもの、そして見られるのは以下の通りです。
- 担保・保証人
- これまでの経営状況
- 信用情報
基本的に金融機関は、お金を貸して利息をもらうことで利益を得ています。そのため、元々貸したお金は絶対に回収します。逆に言うと、回収できる見込みがなければ貸しません。
担保や保証人を用意させることで、もしもお金を借りた当事者が返せなくなった場合に備えます。
これまでの会社の経営状況を見て、貸したお金は返済するだけの能力があるのか、貸せるとしたらいくらまで貸せるのかを判断します。
信用情報では、これまでの借金履歴を見ます。
いずれの「貸した元金は何が何でも回収する」ということを前提としています。そのために様々なものを用意させますし審査も厳しくなるのは当然です。ただ世の中には担保や保証人を簡単に用意することができ、会社の経営状況は右肩上がり、これまでに借金をしてきた経験を持たないような経営者もいます。そういった人からしてみれば、金融機関の審査はなんら厳しくないのです。
- 売掛債権(請求書)
- 直近3ヶ月の通帳
まずこの2つを用意すれば、話を聞いてくれるファクタリング会社は少なからず存在します。
ファクタリングも同じです。ファクタリングを利用する際には担保や保証人が必要ではありません。これまでの経営状況も関係ありませんし、信用情報が傷ついても構いません。これだけ見ると審査が緩いように感じます。しかしそもそも売掛債権が無ければ利用することができません。さらにその売掛債権が確かな価値を持つものでなければ買い取ることはしません。ある意味、金融機関の融資よりもシビアな部分もあります。
そのため、ファクタリングの審査が緩いといったのは見る角度によって、見る人によって異なってくるのです。
一般的な資金調達の観点から見ると、ファクタリングの審査は緩いです。審査を受けることさえできれば90%以上は審査に通るとされています。
ただし審査基準を満たしておらず、審査をしてもらえない事業者もいます。その人たちからしてみると審査は厳しいと感じることでしょう。
審査が厳しいのではなく対象外のケースが多い
「ファクタリングの審査が厳しい」と表現する事業者の中には、以下のような勘違いをしている人がいるようです。
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリングは確かに資金調達方法の1つではあります。しかし借金ではありません。「資金調達=借金」と勘違いしている事業者がいるようです。
今回の場合、そもそもファクタリング会社は審査すらしていません。それは事業者が売掛債権を持っていないためです。厳しい厳しくないといった話ではなく、そもそもファクタリングを利用する条件を満たしていないのです。条件というのは「売掛債権を持っていること」です。
万が一ですが、売掛債権を持っていない事業者にファクタリング会社がお金を渡したとします。すると貸金業法違反となってしまいます。そのため売掛債権を持っていない事業者にお金を出すファクタリング会社は存在しません。
なので、ファクタリングの審査自体は審査通過率が90%を超えると言われるほど、厳しいものではありません。審査を受ける条件を満たしていない事業者が審査を受けることができなくて「審査が厳しい」と思っているだけなのです。
売掛金が入りそうもない・回収できそうもない 売掛債権を譲渡してしまうのも1つの手
ここが今回の話の注目ポイントです。
今までに、売掛金が入ってこなかもしれないという可能性を感じたことがある事業者もいることでしょう。
売掛金を受け取る権利である「売掛債権」は持っているだけでは意味がありません。売掛金が入ってきて初めて価値が出るのです。
もし売掛金が入ってこない可能性を感じたのなら、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡し現金化しておくのも1つの方法です。
入金がルーズな売掛先からの入金を待つくらいなら
仕事をしている中で、入金がルーズな取引先と付き合ったことのある人もいることでしょう。
「約束の入金日になっても振り込まれない・・・。電話しても繋がらないし、内容証明を出しても効果があるか分からない・・・。そもそも催促をしている時間がもったいない。」
このような場合においても、上手くファクタリングを活用することで余計な心配をせずに済むようになります。
入金がルーズな売掛先からの入金を待つくらいなら、怪しい売掛債権はファクタリング会社に売却してしまうのです。
手数料は引かれてしまいますが、すぐに売掛債権を現金化することができます。これでいつ入金されるか分からない、もしくは入金されないかもわからない売掛金の心配をする必要がなくなります。
売掛金が入金された段階で、ファクタリング会社にそのまま送金すれば終わりです。万が一売掛金が入金されなかったとしても、「償還請求権はナシ」の状態でファクタリング契約していれば何の責任を負うこともありません。
ファクタリング会社
参照 償還請求権の有無が重要 自分の身を守るために必要な確認
売掛先の経営が怪しい 売掛金を回収できないと思ったら
取引先の事業の雲行きが怪しいと感じたことはないでしょうか?
ここで一番恐れることは、「商品を納品したのに相手が倒産してしまい、商品代金が入ってこない」ということです。
そっくりそのまま損失となってしまいます。
そのような事態を回避する方法としてもファクタリングは有効です。回収が難しい売掛債権をファクタリング会社に事前に買い取ってもらうのです。ファクタリング会社から手数料を引かれてはしまいますが、確実に現金が手元に入ってきます。ファクタリング会社からしてみると迷惑な話ではあります・・・。
事業者
ファクタリング会社
売掛債権に価値があるかどうかはファクタリング会社が審査を行い判断します。そのため、事業者が回収困難と諦めたとしても、買い取ってくれるファクタリング会社もあるかもしれません。自己判断せず問い合わせてみるとよいでしょう。
問題は売掛債権を売却した後
たとえば取引先に商品を納品したとします。その段階で売上代金を受け取る権利である「売掛債権」を持っている状態となります。
商品を納品したということは「見積書」や「契約書」、「納品書」、「請求書」などのやり取りがあったかと思います。これにより売上代金を取引先から受け取る権利である「売掛債権」を持っている状態となります。
この権利をファクタリング会社に譲渡します。するとファクタリング会社は手数料を引いた金額で買い取ってくれます。
この段階で、売り上げを受け取る権利はファクタリング会社に移行したこととなります。ここまでは一般的なファクタリングの流れですね。
ここからが肝心です。
万が一、売掛先が売掛金を支払わないまま倒産してしまったとします。
この場合、損をしてしまうのは売掛債権を持っているファクタリング会社です。事業者はすでに売掛債権をファクタリング会社へ譲渡してしまっているため関係ありません。つまりお金を返す必要はないのです。これが「償還請求権なしの契約」の強さです。基本的にほとんどのファクタリング会社では償還請求権のない契約を行います。
ファクタリング会社から取り立てられることもありません。そもそもファクタリング会社は貸金業ではないため、取り立て行為ができないのです。
ファクタリング会社
ファクタリング会社からしてみると非常に迷惑なことではあるのですが、売掛先の経営状態を審査で見抜けなかったのはファクタリング会社です。自業自得となってしまうのです。
このような失敗をしないためにも、ファクタリング会社の審査は、売掛債権を売却する事業者よりも売掛先の会社の信用度に注目することが多いのです。
ただしですが、1点気を付けてください。ファクタリング会社と契約をする際に「償還請求権ナシ」の契約であるか確認する必要があります。
参照 償還請求権の有無が重要 自分の身を守るために必要な確認
一般的に日本にあるファクタリング会社の多くは償還請求権がないことがほとんどですが、一応確認しておくとよいでしょう。
期日までに売掛金が入ってこなかった場合の責任の所在
ファクタリング契約を行う際、売掛金がいつ入金されるのかは大事なポイントとなります。
つまり売掛債権をファクタリング会社に譲渡する際、売掛金の入金予定日を明確にします。これも審査のポイントの1つとなるケースが多いです。
たとえばそれが2ヶ月後だったとします。
ファクタリング契約を結ぶと売掛債権、つまり売掛金を受け取る権利はファクタリング会社に移ることになりなす。しかしそれを売掛先は知りません。そのため2ヶ月後、売掛先は事業者に売掛金を入金します。事業者は入ってきた売掛金をファクタリング会社に送金します。
これが順当な流れです。
ところが売掛先が何かしらの都合で、予定日に売掛金を入金してこなかったとします。すると事業者はファクタリング会社に送金することができません。ファクタリング会社は売掛金を受け取れる権利を持っているのですが回収することができません。
この場合「償還請求権アリ」の場合なら、事業者はファクタリング会社に補償をしなければなりません。もし「償還請求権ナシ」であれば、事業者はファクタリング会社に対し何の補償もする必要がありません。
償還請求権の有無が重要 自分の身を守るために必要な確認
今までのすべての話に通じることですのでよく覚えておいてほしいことをお話しします。
ここまでで何度も出てきた「償還請求権」ですが、ファクタリングを契約する上でとても大事なポイントとなります。よく覚えておいてください。
「ファクタリング契約をし売掛債権を譲渡した後、売掛先から入ってくる予定だった売掛金が入ってこなくなってしまった場合、誰がその責任を負うのか?」ということです。
償還請求権アリ | 売掛債権を売却したファクタリング会社にお金を戻す必要があります。 |
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償還請求権ナシ | 売掛債権を売却したファクタリング会社にお金を戻す必要がありません。 |
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まだよくわからないかもしれません。非常に大切なポイントですので、対話文で分かりやすく解説しておきます。
これは事業者が売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金を得た後の話です。
償還請求権の「有」の場合 大損害を被る可能性も
償還請求権が「アリ」の場合、ファクタリング会社は事業者に対して渡したお金を戻すように要請することができます。
事業者
ファクタリング会社
この場合、事業者からしてみるとリスクが大きくなり、ファクタリング会社からしてみるとリスクは小さくなります。これによりファクタリングを利用する際の手数料を低くする交渉が可能となります。
償還請求権の「ナシ」の場合 何の責任を負うこともない
償還請求権が「ナシ」の場合、ファクタリング会社は事業者に対して渡したお金を戻すように要請するはできません。つまり売掛債権を購入した金額をそっくりそのまま損をしてしまうのです。
事業者からしてみると、タダでお小遣いをもらった状態となります。
事業者
ファクタリング会社
この場合、事業者からしてみるとリスクが小さくなり、ファクタリング会社からしてみるとリスクは大きくなります。これによりファクタリングを利用する際の手数料が高くなる可能性があります。
いかがでしょう?償還請求権がアリかナシかで大きな違いになるということがわかるかと思います。
もし売掛先の経営状態に不安がなく、間違いなく売掛金が入ってくるということであれば、償還請求権をアリにして手数料を低くする交渉をするのも1つの方法です。逆に不安であれば償還請求権はナシにした方がよいかもしれません。
多くのファクタリング会社は償還請求権がない でも・・・
現在日本にあるファクタリング会社のほとんどが「償還請求権ナシの契約」となっています。つまり売掛金が入ってこなかったとしても、「売掛債権を譲渡した事業者が責任を負うことはない」といったものです。そのためそこまで心配することもないかもしれません。
ただしすべてのファクタリング会社が該当するかというと正直わかりません。
そのため契約するときに必ず「償還請求権はどのようになっていますか?」と質問し、さらに契約書の該当部分を教えてもらいチェックしたほうがよいでしょう。