
ファクタリングを利用し、取引先にバレる確率は極めて低いと考えてよいでしょう。極めて低いのですが可能性はゼロではありません。これはあらかじめ言及しておきます。
ファクタリングを利用したことが取引先にバレてしまうケースとしては以下の4つが考えられます。
- 契約形態
- 登記
- 自分から言ってしまう
- 社内スタッフから漏れる
もしファクタリングを利用したことを外部に知られたくないのであれば、まずこれら4つを気を付けてみるとよいでしょう。
ファクタリングを利用したことがバレてしまう4つのケース
ファクタリングを利用したことが外部に漏れてしまうケースを主に4つ紹介します。
契約形態 3社間契約で取引先に通知される
ファクタリングには主に2つの契約形態があります。「2社間契約」と「3社間契約」です。
2社間契約の場合は基本的に、取引先にバレることはありません。基本的にですが・・・。3社間契約の場合は債権譲渡通知が取引先に行くため100%バレます。
よって、取引先に通知されたくないのであれば2社間契約を選ぶとよいでしょう。
登記 法務局に債権譲渡登記される
2社間契約を行った場合、事業者は売掛債権をファクタリング会社に譲渡します。譲渡することによってファクタリング会社から売掛金の金額から手数料を引かれた金額を手にすることができます。
ただし売掛債権がファクタリング会社に譲渡されただけでは、売掛債権の持ち主はまだ事業者のままとなっています。そのためファクタリング会社は法務局で債権譲渡登記を行うことがあります。
債権譲渡登記を行うということは、「この売掛債権の正式な持ち主がファクタリング会社にありますよ」と登録するという意味です。
これにより正式に売掛金を受け取る権利がファクタリング会社に移るわけです。
ところが登記された債権は法務局で調べることができます。そのため取引先が調べようと思えば調べることができ、結果としてバレてしまうケースがあります。
登記しないケースが多い
一般論の話ですが、買い取った売掛債権をわざわざ登記するファクタリング会社はあまり多くないような気がします。なぜなら手間であるためです。
ただしファクタリング会社によって、そして売掛債権の金額によって、さらには事業者の信頼度などによって登記されるケースもあります。
たとえば売掛債権額が非常に大きく、ファクタリング会社としては絶対に回収しなければならない場合においては、登記する可能性はあります。また売掛債権を売却した事業者に対し怪しく感じたり、売掛先である取引先の状況が怪しいと感じた場合には、登記をすることで、ファクタリング会社としての権利を主張できる状態にしておくことがあります。
さらには、債権を売却する事業者が他のファクタリング会社を利用している場合にも登記の可能性はあります。本来であればやってはならない行為であり詐欺行為に該当する可能性があるのですが、事業者は複数のファクタリング会社に対して同じ債権を譲渡することをしようと思えばできてしまいます。
その際には、一番早く登記をしたファクタリング会社が、対象の売掛債権の正式な持ち主として権利を主張することができます。それ以外のファクタリング会社は、お金を出したのにも関わらず権利を主張することができなくなってしまいます。※本来は2重譲渡自体がNGです。
普通は調べない
ファクタリング会社に譲渡した売掛債権が登記されたとしても、一般論の話ですが、取引先にバレることは極めて稀な話です。
なぜなら法務局で登記を行ったとしても、取引先に対して通知がされるわけではないためです。もちろんファクタリング会社からも通知されません。
もし取引先にバレるとすれば、取引先が法務局で調べた場合です。
しかしこれは考えにくいことです。様々な取引先と仕事をする中で売掛金を受け取ったり、買掛金を支払ったりすることは、日常的に行われていることです。わざわざ債権が登記されているかどうかを調べることはゼロではないですがほぼ考えづらい話です。
ファクタリング会社
基本的に調べられることはありませんが、絶対に調べられないかというとゼロではないということです。
自分から言ってしまう
何事においても言えることなのですが、秘密にしていることが実は自分からバレてしまっていることがあります。
たとえばお酒の席で言ってしまったり、資金調達に悩んでいる人から相談を受けたときに、ファクタリングのことを詳しく説明したり・・・。周りから見てどう考えても資金繰りが厳しい状況で顔色が悪かったのに、ある日を境に元気になったり・・・。
いくらでも自分からバラしてしまうことはあるものです。
社内スタッフから漏れる
ファクタリングは事業者しか利用できないサービスです。そのため会社の代表が黙っていれば、社員にバレることはありません。
ところが資金繰りが苦しかったとして、社員に相談をしていた場合、そしてその結果ファクタリングを利用するに至った場合、当然社員もファクタリングを利用したことを知るわけです。
その結果、取引先に思わずファクタリングを利用したことを話してしまう社員もいなくはないことでしょう。
事業者
対策方法としては・・・気を付けるしかないだろう・・・。周りに知られたくなければの話だが・・・。
ファクタリングを利用したことがバレない方法
ファクタリングを利用したことが外部にバレないようにするためには、以下のことに気を付けてみましょう。ただしそれでも絶対にバレないという保証はないということも併せて覚えておいてください。
ファクタリング会社
3社間ではなく2社間契約を利用する
ファクタリング利用時に3社間契約を行うと、取引先へ債権が譲渡されたという通知がされます。ここでファクタリングを利用したことがバレてしまうわけです。
もし取引先にファクタリングを利用したことがバレたくないのであれば、2社間契約を行うしかありません。
2社間契約の場合には、ファクタリング会社から取引先に対して債権が譲渡されたという通知がされることは基本的にありません。基本的にというのは、事業者が契約内容をしっかりと守った場合の話です。
- 取引先から売掛金が入ってきたのにファクタリング会社にお金を送らない
- ファクタリング会社からの連絡を無視する
- ファクタリングと交わした契約の内容にそぐわないことが起こった場合
このような内容は契約書に記載されており、契約書の内容をしっかり守っていれば問題はありません。逆にもし守らなかった場合には、ファクタリング会社は容赦なく登記を行うことでしょう。
債権譲渡登記を行わないよう約束する
債権譲渡登記を法務局へ行わないようにファクタリング会社と約束をするという方法があります。
もちろん口約束では確実ではないため、契約書にその内容を入れてもらう必要があります。一般的にはファクタリング会社としても登記をするのは手間であるため行うケースは少ないですし、登記をしないことを条件に手数料を高くできるため登記はしない方向で契約を進めるケースもあります。
ただし登記をしないことはファクタリング会社にとってリスクであり、リスクをなるべく減らしたいと考えるファクタリング会社であれば登記をする可能性があります。そのためこの辺りは交渉となることでしょう。
債権金額が数千万円、数億円と大きい場合には、高額の債権を買い取る側であるファクタリング会社にとってリスクが大きいため、登記される可能性が高いです。そのためもし登記されたくないということであれば、手数料を高めに提示される可能性もありますが、この辺りは利用するファクタリング会社の考え方次第でしょう。
また手数料を高めに提示しても、受け入れてくれないファクタリング会社もあることでしょう。つまり債権譲渡登記を行わないことを受け入れないということです。
二重譲渡を疑われると登記される可能性あり
同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡することが可能です。もちろんこれは、債権を譲渡した事業者側が詐欺行為となってしまう可能性が高いのですが、とはいってもお金を出して購入したファクタリング会社にとってしてみると、必ずどこかのファクタリング会社が大きな損失を出してしまうことになります。
その際には、一番早く登記をしたファクタリング会社が、債権の正式な権利者として主張することができます。よって二重譲渡の可能性が分かった瞬間に、債権を登記されることでしょう。
繰り返しますが、そもそも同じ債権を複数のファクタリング会社に譲渡すること自体が問題であるため、絶対に避けるようにしましょう。
参照 ファクタリング利用者は気を付けよう 架空債権・二重譲渡・計画倒産
自ら外部に話さない
意外と秘密というものは自分から漏れてしまうことが多いです。
資金繰りに悩んでいてそれが解決できると、気分も高まることでしょう。そのため嬉しさのあまり、家族や友人、知人に話してしまうのです。
この辺りは自分で気を付けるしかありません。
社内でも情報を遮断する
もしファクタリングを利用したことを外部に漏らしたくないのであれば、社員に対しても情報を遮断する必要があるかもしれません。
たとえば、社内で知りえた情報を他に漏らさないといった契約を行っていた場合においても、情報は漏らさないほうが良いでしょう。
ファクタリングを利用したことがバレたときの問題
ファクタリングを利用したことが外部に漏れてしまった場合、起こりえる問題は以下の通りです。
- これまで行ってきた継続的な取引の打ち切り
- 新規契約が取れなくなる可能性
これらは絶対というわけではなく、あくまでも可能性の話です。これらは自分が取引先の立場に立ってみれば理解しやすくなるでしょう。
これまで行ってきた継続的な取引の打ち切り
A社とB社が取引を行っているとしましょう。
B社はA社に対して商品の発注を行っています。A社から納品された商品をB社は販売しているとしましょう。仕事上、互いに必要な存在ということです。
ところがA社の資金繰りの状況が悪化したとします。資金繰りの状況が悪化しているということは、倒産の可能性もあるということです。
B社からしてみると、商品の発注を行っている先が倒産をしてしまったら、商品を販売することができなくなってしまいます。それであれば、同じ商品を製造している会社を探すことでしょう。
このようなことが起こりえるため、なるべく取引先には資金繰りが悪化していることを知られたくないと考えるのです。
新規契約が取れなくなる可能性
継続取引と同じように、資金繰りが悪化している会社と取引を行うことは、リスクと考える会社はあります。
そのためわざわざ資金繰りが悪化している会社と取引を行おうとは思いません。代わりとなる会社は他にもあるため、そこと取引を始めるようになることでしょう。
このようなことがあるため、わざわざ資金繰りが悪化していることを外部に漏らす必要はありませんし、可能な限り漏らさないほうが良いと思います。