少額の売掛債権を買い取ってくれるファクタリング会社は存在します。
まず少額の定義がどの程度であるのかは人それぞれ違いますが、「金額に関わらず売掛債権は買い取ってくれるファクタリング会社は存在します」。
一般的に各ファクタリング会社には、買取金額が設定されています。〇〇万円~〇〇万円といった感じです。たいていの場合50万円~5000万円ほどの金額設定になっています。この場合、買取下限金額は50万円となるわけです。
つまり50万円よりも低い金額の場合は、買取対象外とされてしまうということです。
しかし中には、買取下限金額を30万円であったり10万円であったり、さらには設定していないケースもあります。
買取金額の下限や上限を決めていることが多い
冒頭でもお話ししましたが、多くのファクタリング会社は買取金額の下限と上限を設定しています。
よく見かけるのは「30万円~5000万円」や「100万円~1億円」といった買取金額です。
ただし、この金額の範囲内でなければ絶対に買い取ってもらえないのか・・・というと実はそのようなことはありません。あくまでも目安です。
ファクタリング会社として「この売掛債権は購入したい」と思えば、金額がいくらであろうと購入してくれます。つまりファクタリング会社次第です。
買取金額の下限を設定している2つの理由
買取金額の下限を設定している理由は2つあります。1つは「利益が少ないため」、もう1つは「手数料分で相殺されるため」です。
利益が少ないため
ファクタリング会社にとっては10万円の売掛債権を買い取るのも、100万円の売掛債権を買い取るのも審査内容に大きな差はありません。
つまりどちらにも同じだけの審査時間がかかります。ファクタリングで行われる審査は約1時間前後。事業者との連絡のやりとりや契約にかかる時間、そして振り込みを行う時間を合わせると2時間と仮定します。
1つの契約を終わらせるのも3時間前後かかるのです。
手数料が20%の2社間契約である場合、10万円の債権であれば2万円が手数料、100万円の債権であれば20万円が手数料となります。
このように考えると、低い金額を取り扱っている時間があるのなら、大きな債権を扱ったほうが効率的であるという考えに至るのです。
手数料分で相殺されるため
手数料が20%のファクタリング会社に10万円の債権を持ち込んだ場合、手数料が2万円である場合と、そうではない場合があります。
ファクタリング会社によっては、事務手数料を取っているケースがあります。これは債権金額によって変動するのか、一律一定に決められているのかはファクタリング会社によります。
先ほども話した通り、金額に関わらず審査には時間がかかります。債権金額が10万円でも100万円でも、同じくらいの時間がかかるわけです。
そのため事務手数料という扱いで、最低5万円や10万円が請求されるケースもあります。
そうなると、10万円の債権を売却することでほとんど現金が手元に入ってこないということにつながってしまうのです。これでは事業者としてファクタリングを利用する意味がありませんし、ファクタリング会社として少ない利益になってしまうのとともに、ほとんど現金が手に入らなかった事業者から悪い噂が流されてしまうことになります。
また契約の際には対面での契約を行っているファクタリング会社も多いです。ファクタリング会社のスタッフに出張してもらえば出張費を請求されます。ファクタリング会社に直接行ったとしても交通費がかかります。
このような感じで、少額債権でファクタリング会社を利用するのは、あまり賢い方法とは言えないのです。
実は下限上限のないファクタリング会社も
少額債権でファクタリング利用は、利用する事業者にとってもファクタリング会社にとっても、あまり良い結果にはつながらないといった内容の話をしてきました。
ところが、買取金額に下限を設けていないファクタリング会社も中にはあります。
実際に下限を設けていないのかは直接利用したことがないためハッキリとは断言できませんが、少なくても公式サイトではそのように謳っています。
もしこれが事実だとして、何を目的としているのかを推察したいと思います。
お試し客の獲得
ファクタリングという資金調達方法を知った事業者が、初めから大きな金額の債権をファクタリング会社に売却するでしょうか。
中には、まずは小さな金額の債権を売却し、どのような仕組みであるのか、そしてどんなファクタリング会社であるのかを判断している事業者もいます。
そういった事業者を獲得するよう、買取金額に下限を設定しないということが考えられます。
事業者としてファクタリングが有益な資金調達方法であり、なおかつファクタリング会社は信頼できると考えれば、大きな金額の債権を売却していることも考えられるためです。
継続利用で利益を上げる
ファクタリング会社は数多くあります。一般的な手数料は2社間契約では10%~30%です。
そこでなるべく手数料を低くすることで、まず顧客を獲得します。事業者としても再びファクタリングを利用する際に新しい会社を見付けるよりも、一度利用したことのある会社を利用した方が安心です。
審査時間を短縮するツールを利用している
最近ではありますがクラウド系のファクタリングサービスを提供するファクタリング会社が現れてきました。
実際はどのような仕組みで審査を行っているのかはわかりませんが、ビジネスローンのスコアリングシステムのようなシステムを導入しているのであれば、審査時間を大きく短縮することができます。これにより人件費を削減することができるため、買取金額が低くても小さな手数料で取り扱うことができるようになります。
30万円~100万円の取引が実は多い
ファクタリングを利用して資金調達する事業者の多くは、30万円~100万円の売掛債権を持ち込んでいるとされています。
中には数千万円~数億円の売掛債権をファクタリングで現金化する事業者もいますが、多くの場合は30万円~100万円ほどとされています。
某ファクタリング会社スタッフの話では、30万円以下の問い合わせはかなり多いとのことです。そのファクタリング会社は買取金額の下限を30万円に設定しているそうですが、30万円以下の問い合わせにも対応しているとのことです。
本音を言うと30万円以上の問い合わせが欲しいとのことですが、ファクタリングでの資金調達の便利さを知ってほしいという思いと、少額の債権も数が集まればまとまった利益になるという点、さらにはリスクを減らすことができるといったメリットがあるとのことでした。
ファクタリング会社にとって、事業者から債権を買い取った時点ではマイナスとなっています。取引先より売掛金が入金され、そのお金を事業者がファクタリング会社に送金した時点で利益が確定します。そして中には、お金を持ったまま連絡が取れなくなってしまう事業者もいます。
変な話ですが、1000万円の現金を持っていかれるよりも30万円の現金を持っていかれたほうが、ファクタリング会社にとってはダメージが少なく済むのです。
そのため、少額の債権を断るファクタリング会社が存在する一方、有難いと感じるファクタリング会社も存在するのです。
債権金額がいくらにせよ、ファクタリングを利用して資金調達を考えているのなら、まずは問い合わせをしてみるとよいでしょう。