ファクタリングの利用を考える事業者の中には、提出書類を作り込んでしまうことがあります。そうでもしないとファクタリングを利用することができないためです。
意図的であってもなくても、書類を作り込むという行為はファクタリング会社に対して「ウソをつく行為」であり、そのことからファクタリング会社が大きく損失を出してしまう可能性があります。
よって「詐欺行為」に該当する可能性があります。これは会社の社会的信用を大きく損なうことになり、将来的に事業を続けにくくなることにつながることでしょう。
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書類を書き換える行為は複数の罪の可能性
売掛債権がある、もしくは大量にあるように見せかけるために、書類を偽装する行為は「偽造や変造」に該当する可能性があります。
ここでいう書類というのは、契約書であったり領収書など、一般的な商取引で利用される書類のことです。
- 有印私文書偽造
刑法159条1項で規定されています。刑事罰は3年以上5年以下の懲役です。 - 有印私文書変造
刑法159条2項で規定されています。刑事罰は3年以上5年以下の懲役です。 - 無印私文書偽造
刑法159条3項で規定されています。 - 無印私文書変造
刑法159条3項で規定されています。
書類の偽装や変造は簡単にできてしまう でもリスクが高い行為
請求書や発注書、注文書、さらに銀行の預金口座の数字などは、作り込もうと思ったら簡単にできてしまいます。
とくに請求書や発注書、注文書などは、各会社が手作りで作成しているケースがあります。
そのため、少し手を入れることで簡単に数字を変えることができてしまいます。
また銀行口座の数字も、少しパソコンをいじれる人であれば、やはり数字を変えることができてしまいます。
いずれにしても簡単に書類を作り込むことはできてしまうのです。
しかしそれを使ってファクタリングを利用しようとする行為は許されるものではありません。簡単に言うと偽物を売りつけようとしている行為であるためです。
書類の偽装をする事業者は多い
書類の偽装をする事業者は意外と多いのです。
書類を偽装することがそれほど重大なことだと知らずに行っているのか、それとも資金調達するためには背に腹を変えられない状態になっているのかはわかりません。
ファクタリングの利用を考える事業者の多くは、銀行の融資やビジネスローンで断られてきた人が多いです。ある意味、最後の砦のようなものです。
そのため、何が何でもお金が必要という状態なのです。
偽装を見抜けないと大きな損失
ファクタリング会社の中には、その偽装を見抜けずに損失を出してしまうケースがあります。
そもそもファクタリングは手数料商売です。そのため、大きな手数料を得るためには大きな金額の債権を購入する必要があります。
そのため、1回詐欺にあってしまうだけでもかなりの損失を出してしまうことになるのです。
- 取引先と組んでいるケース
- 士業やコンサルタントと組んでいるケース
取引先と組んでいるケース
取引先と組んで架空の取引を作り上げるケースがあります。
本来であれば存在しない取引を、存在しているかのようにするのです。
片方が注文書を作り、片方が請求書を作り・・・。書き込んでいる金額は適当です。
しかしどちらも実在する会社であり、過去に何度も取引をしているという書類を見せられると、ファクタリング会社としては信用してしまうのです。
士業やコンサルタントと組んでいるケース
金融や税金に詳しい士業やコンサルタントと組んで、書類を作り込んでくるケースがあると聞いたことがあります。
あくまでも聞いた話であり、「そこまでのことをするのか?」と思うのですが、実際あるようです。
士業やコンサルタントの中には、経営に悩んでいる会社もあるそうです。
そういった会社が顧客の事業者を利用し、正攻法ではない資金調達方法を指南する用です。
そしてそこで得られた利益の一部を受け取るというものです。
ファクタリング業界のよくあるトラップ
書類の作り込み以外にも、ファクタリング業界でよく起こりえる問題があります。
それが「架空債権」・「二重譲渡」・「計画倒産」です。
「架空債権」は債権を作り込むということですから、先ほど挙げたような罪に問われる可能性があります。
「二重譲渡」は1つの債権を複数のファクタリング会社に譲渡し、複数からお金を得る行為です。刑法第253条に接触する可能性があり、10年以下の懲役になる可能性があります。
「計画倒産」に関しては、刑法第246条に接触する場合には詐欺罪に該当し、破産法第265条に抵触する場合は詐欺破産罪に該当する可能性があります。
当然ファクタリング会社としても損失を出したくないため、これらに引っかからないように注意しています。
しかし万が一引っかかってしまった場合には、その損失を取り戻すべく、全力で法的手段を行使してきてもおかしくはありません。
誤った方法で資金調達をしようとしたリスク
紹介したような書類を偽造したり変造したりして資金調達をしたとします。
しかし結果としてそれがバレてしまうことで、刑事罰に課せられる可能性があります。
そのような状態であれば、会社経営どころではなくなってしまいます。
ニュースでも知られることになりますし、噂でも広まることでしょう。取引会社との付き合いはなくなることでしょう。
「詐欺」と言う言葉を軽くとらえている人がいるかもしれませんが、罰金を払って終わり・・・というわけではありません。懲役刑となります。
もしうまく逃げたとしても時効までは7年となります。そこまで負い目を感じて生活をすることになるのです。
ファクタリングを利用するのであれば、まっとうに利用した方がよいと思います。
書類偽造は複数の罪に該当する可能性
売掛債権とは「商品やサービスを取引先に提供し、将来的に受け取れる未受領の代金」です。
そしてファクタリングというサービスを利用すると、この売掛債権を売却することができ、つまりは現金化することができるのです。売掛債権を売却するためには、売掛債権が存在することを証明する必要があります。
そのためには、たとえば発注書や納品書、そして請求書等の書類が必要となってきます。
ただしこれらの書類は作り込むことが可能です。そのため本当は存在しない売掛債権が存在するように見せかけたり、本当に発生している金額以上の売掛債権額に書類を書き換えることも可能なのです。
書類を作り込むのは違法
売掛債権を売却するために書類を偽装することは違法行為です。
しかし契約書や領収書などの書類を偽造あるいは変造することで、存在しない債権を装い現金化することが可能です。可能ではありますが、それによりファクタリング会社は大きな損失を被ることになります。
被害者がいる限り、被害者が出る行為は違法行為となりえるのです。
このような行為は「詐欺行為」として、罰金や懲役などの刑罰を受ける可能性があります。正当な取引に基づく売掛債権を持つことが重要であり、書類の偽造や変造といった不正行為は避けなければなりません。
例えば、ある企業が自社の売掛債権を現金化するために、存在しない債権を装うために書類を偽造した場合、ファクタリング会社には返済不能な損害を与えることになります。そのため、偽装をしていた企業には重い罰則が科せられます。
書類の偽装や変造は簡単だがリスクが高い
ファクタリングを利用する事業者の中には、はじめからファクタリング会社を騙そうとして書類を偽装することがあります。
しかし数字の改ざんや偽造書類を使って債権を売買することは、詐欺行為に当たる可能性が高く罰則が科せられることもあります。
書類の偽装をする事業者は多い
ファクタリングを利用する事業者の中には、書類を偽装することが多くあります。
しかしその理由は様々で、意図的でない場合や資金調達のためにやむを得ず行っている場合もあります。
前提として、故意でも過失でも書類を作り込みすること自体が問題です。そしてその書類を利用してファクタリングに限らず資金調達を行った場合、大なり小なり、問題に発展する可能性が十分にあります。
ファクタリングは最後の資金調達方法
事業者がファクタリングを利用する理由の一つは、従来の銀行融資やビジネスローンでの審査に通らなかった場合であるケースが多いです。
このような事業者たちは、急な資金調達が必要となった場合には選択肢としてファクタリングしか残されていないのです。
しかしファクタリングを利用するためには、そしてなるべく多くの現金を手にするためには、書類を偽造しなければならないと考えるのでしょう。
しかし再三お話ししていますが、書類の偽装は違法であり犯罪行為に該当することがあります。
ファクタリング会社は偽装を見抜くプロ
ファクタリング会社にとって書類を偽装してくる事業者は日常茶飯事です。
ファクタリング会社にとって必要なのは、偽装を見抜くためのしっかりとした審査、そしてそれがなるべく短時間で完結することです。
ファクタリングの大きなメリットは、資金調達スピードがいかなる資金調達方法の中でも群を抜いて早いというところです。
そのため書類審査はなるべく短時間で済ます必要があります。短い時間の中で偽装された書類かどうかを見極めるのは知識と経験が必要となります。
ただし偽装書類を掴んでしまった場合には、大きな損失につながってしまうため、スピードは速いですがかなりシビアに審査は行われます。
士業やコンサルタントが絡む場合も
書類の偽装は、取引先や士業、コンサルタントなどとの結託によって行われることがあります。
たとえば取引先と組んで偽造書類を作り上げることもあれば、士業やコンサルタントが偽造書類の作成を手伝う、もしくは入れ知恵をすることがあるのです。
ただし書類の偽造に加担する行為ももちろん問題となります。
まとめ
書類の偽装は、多くの事業者によって行われていますが、それは違法行為であることを認識する必要があります。ファクタリング会社にとっても、偽装は大きな損失となります。
事業者は、適法な手続きを踏むことが大切です。ファクタリング会社は、専門的な知識を持った人材を配置し、適切な審査を行うことが必要です。また、ファクタリング会社が偽装に遭遇した場合、そして被害を被った場合には、それ相応の対応を取ってきます。
そのため事業者はファクタリングを利用するのであれば、書類の偽装は行わないほうがよいでしょう。
ファクタリング会社による審査 甘いと言われるが・・・
ファクタリング業界では、偽物の債権を取得してしまうなどの問題が起こることがあります。
このような問題は、ファクタリング会社としては信頼できる取引先とのみ取引を行うことによって回避することができます。
では信頼できる会社とはどのようなものなのかという点ですが、それを書類から判断し、さらには各ファクタリング会社が独自の方法で調査するのです。
書類以外からも審査を行う
ファクタリング会社は、事業者から提出された書類をすべて鵜呑みにして信用することはありません。
ソレラヲあくまでも参考書類とし、独自の方法で事業者、さらには事業者の取引先を調べます。
ファクタリング会社が行う審査は、信用調査や資産調査、取引先企業の業績などを調べることで行われます。これによって、ファクタリング会社は信頼できる取引先を選び、違法な取引を回避することができます。
トラブルとなった場合には
トラブルが発生した場合には、法的手段を用いて損失の回収に全力を尽くすこともあります。
ファクタリング会社にとって、法律違反は業界にとって大きな悪影響を及ぼします。そのため、合法的な取引を行うことが極めて重要です。
以上のように、ファクタリング会社は慎重な審査を行い、合法的な取引を行うことによって、法律違反やトラブルを回避することができます。
誤った方法で資金調達をすると信用を失う
ファクタリングを利用して誤った方法を使って資金調達を行うと、会社の経営に大きなリスクがあります。
とくに「詐欺」の罪に問われた場合は、社会的信用を失い、取引先との信頼関係も壊れてしまいます。
さらに違法行為が発覚した場合には、法的な制裁だけでなく、顧客からの損害賠償請求も考えられます。
このような問題を避けるためには、正式な書類を使い信頼できるファクタリング会社を選び、正しい手続きを踏むことが大切です。
ファクタリング自体が悪いわけではない
一応お断りですが、ここまでお話ししてきたようにファクタリング業界では書類を偽装してくる事業者が存在します。
その結果、詐欺行為と判断されるケースもあります。
しかしファクタリングというサービス自体が悪いわけではありません。正当なビジネスを支援するためには有用な手段です。
ただファクタリングを利用する事業者の中に、法に反する手段を用いて資金調達を行う人がいることがあるということです。
またファクタリング会社の中にも、かなり高い手数料を請求するケースもあります。
つまり事業者は正式な書類を使ってまっとうなファクタリング会社を選ぶことが重要であり、ファクタリング会社は適切な手数料で商売をすることが大事となります。
本当に最後の手段
ファクタリングは数ある資金調達の中でも最後の手段の一面を持っています。
本来であれば、銀行やビジネスローンを利用した方が金利の面からも優遇されています。
しかしそれらを利用することができず、それでも資金調達が必要という事業者のための資金調達方法である面を持っています。
そして手数料は債権金額の10%~30%が相場となっています。よく考えると高いのですが、それでも利用しなければ倒産してしまうという会社も多いのです。
後がない事業者は時として書類を偽装してまでファクタリングを利用と考えます。
しかしそれは詐欺行為に該当する可能性があり、もしファクタリング会社が被害に遭った場合には、それなりの対応を取ってきます。
そして一度でも偽装行為を行った場合には、会社の社会的信用を失うばかりか、ファクタリング自体も利用できなくなってしまうことでしょう。
そういった意味でも、ファクタリングを利用するのであれば正式な書類を利用した方がよいです。