登記された債権は譲渡(売却)できない 二重譲渡は危険な行為
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登記された債権は譲渡(売却)できません。

そもそも債権とは売上をもらう権利

そもそも債権とは、「取引先から売上を受け取る権利」のことをいいます。

あなたが事業者としましょう。

取引先に100万円分の商品を納品したとします。取引先からは100万円が支払われることになります。

これを「債権」という言葉を含めて表現し直すと以下のようになります。

取引先に100万円分の商品を納品したということは、取引先から100万円が支払われるということになります。これはつまり、取引先から100万円をもらう権利があるということになります。

100万円をもらう権利があるのは当然ですよね。100万円分の商品を納品したわけですから。

ということで、債権というものは特定の金額を取引先から受け取る権利ということになります。

Wikipediaでは以下のように説明されています。

債権とは、大陸法系の私法上の概念で、ある者が特定の者に対して一定の行為を要求することを内容とする権利。

債権とファクタリングの関係

ファクタリングとは、債権をファクタリング会社に譲渡し、譲渡する代わりにお金を得られる仕組みのことを言います。

あなたが事業者だとします。

取引先に100万円分の商品を納品したとします。すると取引先からは100万円が支払われることになります。

これはあなたが取引先に対し、100万の売掛金があるということになります。つまり取引先から100万円を受け取る権利を持っているということになります。

一方取引先からしてみると、あなたに対して買掛金があるということです。それはつまり100万円支払わなくてはならないということです。

違う考え方をすると、取引先は債権を持っている人に100万円支払えば良いということなのです。

一般的に考えると、債権を持っているのはあなたであるため、あなたに100万円支払えば良いです。

ところがあなたがファクタリング会社に債権を譲渡してしまった場合、それはつまり「取引先から100万円を受け取る権利をファクタリング会社に渡した」ということになります。

そのため、売掛金を受け取る権利はファクタリング会社に移行していることになるのです。

ファクタリング会社は債権登記を行う

ファクタリング会社としては、事業者から債権を譲渡された場合、債権を登記します。

つまり「この債権は私のものです」と登録をするということです。

よって取引先から事業者に支払われるはずの100万円は、事業者は受け取る権利を持っておらず、ファクタリング会社が持っているということになるのです。

そのため、取引先から事業者に売掛金が入金されたとしても、そのお金はファクタリング会社のものであるため、ファクタリング会社に送金しなければならなくなるのです。

登記された債権を他のファクタリング会社に譲渡することはできない

ここからが本題となります。

あなたがファクタリング会社に債権を譲渡したとします。取引先から売掛金を受け取る権利を渡したということです。

その段階であなたはファクタリング会社から資金調達することができます。

100万円の債権をファクタリング会社に譲渡した場合、手数料にもよりますが、80万円前後は手にすることができます。

ファクタリング会社としては事業者から受け取った債権を自分のものであると証明する必要があります。そこで登記を行います。これにより100万円を受け取る権利はファクタリング会社にあると立証することができるのです。

しかしここで問題があります。「権利」というものは物のように目に見えるものではありません。

そのため、1つの債権を複数のファクタリング会社に譲渡しようと思えばすることができるのです。

これは行ってはならない行為です。

つまり100万円の債権を、A社、B社、C社といった具合に、複数のファクタリング会社に譲渡することができてしまいます。

1社あたり80万円手に入れたとすると、合計240万円となります。

本来であれば取引先から100万円を受け取れるはずの権利であり、100万円の価値しかないということなのです。それなのに240万円手に入れられるはずがありません。

しかしやろうと思ったらできてしまうのです。

これを「二重譲渡」などといったりします。これは詐欺行為に該当する可能性が極めて高くなります。

https://factoring-dekita.com/strategy-manual/scam/

https://factoring-dekita.com/strategy-manual/failure-of-examination/

将来的に回収できるから債権を購入している

ファクタリングは手数料商売です。

将来的に債権の金額が入ってくると思うから債権を事業者から購入しているのです。

100万円の債権であれば、約20万円の手数料を得るために、まずはじめに事業者が持つ100万円分の債権を購入しています。

ところが、その同じ債権を購入したファクタリング会社が3社あったとします。

事業者としては80万円✖️3社のため240万円を手にすることができてしまいます。まずここがおかしいですよね。

次に取引先は100万円のみを支払います。100万円分の納品を受けているわけですから当然ですよね。

しかし100万円を受け取る権利を持つファクタリング会社が3社あるということになると、どの会社が100万円受け取るのか?ということになってしまいます。

どこが受け取ったとしても、残りの2社は必ずマイナスとなってしまいます。

このようなことがあり、同じ債権を複数のファクタリング会社に譲渡することはできないのです。