ファクタリングは債権以上の金額を資金調達することはできません。
つまり100万円の債権を持っていたとします。これをファクタリング会社に持っていけば、最高100万円で売却することができます。しかしこれではファクタリング会社の利益が出ないため、実際には手数料が引かれることになります。
つまり100万円未満の現金を得ることになります。
よって以下の公式が成り立ちます。
- 100万円の売掛債権 > 資金調達金額
言い換えると、これ以外の公式は成り立たないのです。
つまり以下ような公式は成り立ちません。
- 100万円の売掛債権 = 資金調達金額
- 100万円の売掛債権 ≦ 資金調達金額
もし上記した2つのような成り立つはずのない公式を採用しているファクタリング会社があったとしたら、利用は避けたほうがよいかもしれません。なぜならファクタリングとは異なったものであるためです。
モノの価値以上の価格で購入することはできない
ファクタリングは「売掛債権を事業者から買い取るサービス」です。
事業者が100万円の売掛債権を持っていたとします。つまりしばらくしたら取引先から100万円が入金されるということです。事業者の持っている売掛債権とは、この取引先から入金される100万円を得る権利ということです。
取引先から100万円が入金される前に、この100万円を得る権利を売却することがファクタリングというわけです。
つまり売却しようとしている債権の金額は、取引先から入ってくる100万円の価値があります。言い方を変えると100万円以上の価値はないわけです。
そのためファクタリング会社に売却しようとしている債権の金額が100万円である場合、100万円未満の金額しか資金調達することはできません。ファクタリング会社に手数料を引かれることになるため、「100万円以下」ではなく「100万円未満」です。
100万円を受け取り120万円で戻すのはおかしい
ここまでを前提としまして本題に入ります。
ファクタリングでは債権金額以上の資金調達をすることはできないということはお話をしました。
よって事業者がファクタリング会社に対し、債権金額以上の金額を求めることはできません。反対にファクタリング会社としても、事業者に対し債権金額以上のお金を渡すことはできません。
もしも債権金額以上の金額が動くようなことがあれば、ファクタリングではなくなってしまい、その分は「貸し付け」に該当してしまう可能性があります。ファクタリングにおいては貸付を行うことはできないのです。
この辺りをもう少し詳しくお話しします。
問題のないファクタリング取引 債権金額未満がルール
事業者
ファクタリング会社
これが通常のファクタリングです。
事業者の持つ債権の金額は100万円。そしてファクタリング会社としてはそれを手数料を引いた金額である80万円で購入。事業者が100万円をファクタリング会社に送金するときに、ファクタリング会社としては手数料の20万円を利益として確定することができるという仕組みです。
冒頭でもお話しした以下の公式が成り立っています。
- 100万円の売掛債権 > 資金調達金額
問題ありのファクタリング取引 債権金額以上はNG
事業者
このような状態の事業者に対して、事業者の要望に応えてしまうようなファクタリング会社は問題があると考えられます。なぜなら事業者の持っている債権金額は100万円であり、それ以上の金額を出してしまうためです。
ただここで少し疑問を感じる人もいるかもしれません。「ファクタリング会社からしてみると、どちらも20万円の利益を得られるのだから問題ないのでは?」ということです。
確かにどちらも20万円の利益を得ることができます。
ただし計算上は問題なさそうに見えたとしても、あくまでもファクタリングは債権を買い取るサービスです。100万円の価値のあるモノは最高100万円でしか購入することはできませんし、5000万円の価値のあるモノは最高5000万円でしか購入することができません。実際には手数料を差し引くため、債券の金額未満の金額でしか購入することはできません。
債権を担保にする場合は可能性としてあり得るが・・・
ファクタリングではありませんが、債権を担保として資金調達をするのであれば、もしかしたら債権金額以上の資金調達をすることはできるかもしれません。
債権を担保とする「流動資産担保融資保証制度」や「売掛債権担保融資保証制度」いったものがあります。呼び方は異なりますが、基本的には同じものと当サイトでは判断しています。
参照 売掛債権担保融資とは売掛金を担保にして融資を受けること
つまり「持っている債権を担保としてお金を借りるといったもの」です。
先ほどからお話ししている通り、債権はお金の価値があります。つまり価値のあるモノを担保としてお金を借りるということです。土地を担保としてお金を借りる行為と同じわけです。
事業者
ファクタリング会社
ファクタリングは貸金業ではないため、何かを担保として預かることはできないのです。もし債権を担保にして資金調達をしたいのであれば、先ほどお話しした流動債権担保融資を利用することをおススメします。
将来債権を買い取ることはできない
その他の方法として、将来債権を買い取るといった行為を促す場合もあるそうですが、これに関してもNGです。
将来債権とは、現在は売り上げとしては成り立っていないが、取引先と継続的な取引を行っているため、将来的に債権が発生するであろうといったことです。
もう少しわかりやすくお話しします。
この5年間、同じ取引先と取引を行っていたとしましょう。毎月100万円の仕事をもらっていたとします。つまり30万円の売掛金が発生しているということであり、毎月100万円の売掛債権を持つことになるとします。
5年間同じ取引を行っているのなら、この先も同じ取引が続くと予想できます。その将来的に発生するであろう債権、将来的に入ってくるだろう売掛金のことを将来債権といいます。
事業者
ファクタリング会社
事業者
ファクタリング会社
このようになるのです。
確定しているモノは購入可能ですが、極めて確定に近かったとしても未確定のモノはファクタリング会社は購入することができません。
よって、今現在、事業者の手元にある債権しか購入することはできないのです。もし将来的に発生する債権があったとしても、それを契約書の中に入れることはできません。その将来的に発生する債権が、実際に債権として発生した段階で初めてファクタリングの対象となり、それはそれで別の契約となるのです。