ファクタリングを利用して資金繰り問題を解決する方法は確かに有効な方法ですが、それ以前に資金繰りの問題を防いだり、問題が発生しても解決することが大切です。
事業の資金繰りを改善させるために必要なことは「分析」です。なぜ資金繰りの問題が発生しているのかを把握するところから始めなければなりません。
この分析が上手くいかなければ、何度でも資金難に陥ってしまいます。
ではそのたびにファクタリングを利用すればよいのか?というと、そういうわけにもいきません。ファクタリング会社からしてみても、何度もファクタリングを利用するような会社は警戒するためです。
資金繰りの問題を発見するためには、貸借対照表、損益決算書、資金繰り表の3つを活用すると良いとされています。
資金繰り悪化の原因を見つける3つのアイテム
資金繰りの悪化の原因を見つけるために活用できるのは以下の3つの書類です。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 資金繰り表
以下でもう少し詳しく説明します。
貸借対照表 | 決算日の会社の財務状況を知ることのできる書類です。つまり一時点の会社のお金の状況を知ることのできる書類となります。 |
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損益計算書 | 一定期間の会社の財務状況を知ることのできる書類です。貸借対照表が年間の財務状況を知るとしたら、さらに短い期間の財務状況を知ることのできる書類となります。 |
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資金繰り表 | 一般的には1ヶ月単位のお金の流れを把握するために作成します。ただしこの資料を作成している会社はあまり多くないとされています。 |
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資金繰りが悪化してしまった場合、もしくは悪化を未然に防ぐために、これらの書類を利用することで、何が原因で資金繰りが悪化するのか、もしくは何が原因で悪化する可能性があるのかを知ることができます。
資金繰り表の取り扱いには注意
余談ではあるのですが、銀行から融資を受ける時に資金繰り表の提出を求められることがあります。
意見が割れることなのですが、資金繰り表を提出することは会社のお金の流れを銀行に知られるということになります。つまり1年のうち、どのあたりで資金難に陥りやすいのか、もっというと会社として資金難、つまり弱っている時期を銀行側に把握されることになってしまします。
銀行側としてはその時期を狙って融資の話を持ちかけることができるため、効率よく、そして銀行側によって有利な条件で交渉をすることができるということになります。
そのため、税理士によっては資金繰り表を銀行に提出することを反対するといったケースがあるのです。
このようなこともあるため、もし銀行融資を希望する際に銀行側から資金繰り表の提出を求められた時には、「なぜ資金繰り表が必要なのか?」を聞いてみると良いでしょう。その返答次第で提出をするかどうかを決めると良いかもしれません。
ファクタリング会社
資金調達を行う際には、事業者が分からない内容も出てくることもありますし交渉しなければならないことも出てきますので、税理士のような専門家にサポートしてもらうとよいと思います。
9の資金繰り悪化の原因 原因を把握する必要がある
事業の資金繰りが悪化してしまう原因として以下のことが挙げられます。
それぞれの原因と対処方法を解説していきます。
赤字経営
赤字経営の状態では事業を継続させるために運転資金が必要となります。そのため銀行からの融資を考えると思うのですが、銀行からしてみても赤字経営の会社にお金を貸すことはリスクとなります。そのため審査に通らない可能性が高くなってしまいます。
銀行からの融資が降りなければ運転資金を確保できず、倒産の危険性が高まってしまします。
つまり赤字経営の状態に陥らないようにしなければなりません。そのためには何が赤字の原因であるのかを資金繰り表などで確認する必要があります。また不必要な固定費はなるべく削減する必要があります。また回収できていない売掛債権は早い段階で回収する必要があるでしょう。もし回収に時間がかかるようであればファクタリングを利用するといった方法もあります。
さらに債権が不良債権化しそうであるなら、債権回収業者を利用するという方法も考えられます。
その他、補助金や助成金を活用するという方法もあります。さらに複数から借り入れを行っている場合には、金利の低いところで一本化するという方法もあるでしょう、。
なるべく無駄を省き、キャッシュを集めることが大事となります。
借金返済
自牛の売り上げが伸びていたとしても、出ていくお金がそれ以上に多ければ資金繰りは悪化します。
その代表例としては、借金の返済です。
借金というものは決まった期日に決まった金額を返済しなければ、遅延損害金が発生し、より多くの返済をしなければならなくなります。さらに信用を失ってしまい、信用情報に影響が出てきます。信用情報に影響が出てきてしまうことで、その次に借金をしたいと考えたとしても、審査に通りづらくなってしまいます。
結果として資金繰りがさらに悪化することとなります。
金利の低い金融機関や貸金業者に一本化したり、金利の引き下げを交渉するのが良いでしょう。さらに返済条件の変更の交渉も有効な方法と言えます。
貸した側としても返してもらえなければ利益になりません。万が一倒産してしまった場合には返済されなくなってしまいます。さらに他の金融機関に変更されてもやはり利益が出なくなってしまいます。
そのため、毎月の返済が厳しくなりそう、もしくは既に厳しいという場合には、借金をしている金融機関に返済条件の交渉を申し込むと良いでしょう。
売上減
さまざまな要因で売り上げが減少してしまうことがあります。まずは、なぜ売り上げが減少したのかの原因を究明することが必要でしょう。そしてどのようにすれば売り上げを戻せるのかを検討していく必要があります。
売り上げが減少したということは、入ってくるお金が減ってしまうということです。そのため出ていくお金を減らすことも検討しなければなりません。
もし将来的に売り上げが戻せる見込みがあるようであれば、その将来に備え、運転資金を確保する必要があります。
可能であれば、売り上げの減少を早めに予期し、お金のあるうちに融資の申し込みを行った方が良いでしょう。
売上の急激な増加
売り上げが減少することで資金繰りが苦しくなることは容易に想像できますが、売り上げが増えることでも資金繰りが苦しくなることがあります。
たとえば販売している商品に人気が急激に高まり、需要に供給が追いつかなくなってしまう状況です。どんどん商品を作りたいのですが、そのためにはお金が必要となります。商品が売れているのだからお金がありそうに思えますが、売れた商品のお金が入ってくるのは2ヶ月後や3ヶ月後というのはよくある話です。
つまり売掛金が溜まっていく状態です。売掛金があるのにそれを回収できず倒産してしまう状況を「黒字倒産」といい、倒産する会社の一定数はこの黒字倒産が原因となっています。
この状態で資金繰りを考えるのであれば、まず回収できていない売掛金の回収を急いだ方が良いでしょう。取引先に交渉する方法から、売掛金自体を売却してしまうファクタリングを利用する方法などが考えられます。
過剰な投資
投資にはさまざまな意味があります。事業における投資としては、設備投資などがあげられます。
・商品が売れそうだからたくさん作ろう。
・商品が売れそうだから、生産性を高めるために機械化しよう。
・サービスが上手くいきそうだから人材をもっと確保しよう。
事業を行なっていれば、このような状況は数多く出てくることでしょう。
予想している通りに物事が運べば良いのですが、そうではない場合には資金繰り悪化を招いてしまいます。
事業者の考えや業種によっても異なってきますが、安全を考慮するならば徐々に事業拡大を行なっていけば、資金繰り悪化は招きにくいでしょう。
ところが予想通りに物事が進まなかった場合、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
不良在庫の増加
不良在庫というのは、売れていない、もしくは売れなかった、そして売れる見込みのない商品です。
多くの商売は仕入れをして、仕入れた商品を売却しています。仕入れをした値段以上の金額で売却することで利益を得ています。
一番良いのは、100個仕入れたら100個売れることです。しかし売れ残りが出てしまうケースが多くあります。そのあたりのことも計算しながら仕入れ価格や仕入れ個数を出していきます。
このバランスが崩れてしまうと、仕入れた商品が不良在庫化してしまい資金繰りが悪化してしまいます。
解決策はいろいろ考えられます。価格を下げて販売したり、何かしらの商品やサービスと抱き合わせで販売したり。ただしそれでも解決しない可能性はあります。
なのでそもそもの話ですが、仕入れをする段階で仕入れ個数を調整する必要があるでしょう。売れる根拠のある数で仕入れを行い、なんとなくの数字で仕入れないようにしましょう。
利益配分
役員や従業員に対しての給料の設定を誤ってしまうと、資金繰りが悪化してしまいます。なるべく給料を出してあげたいという気持ちはわかりますが、会社にお金が残らなければ、事業を回していくことができません。
貸借対照表や損益計算書を元に、事業でどのくらいの利益を出しているのかを正確に判断し、それに基づいて給与を振り分けた方が良いでしょう。
短期的な資金繰り悪化であると判断できるのならば、金融機関に融資の相談を持ちかけてみるのもよいでしょう。金融機関からみて返済できる見込みがあると判断されれば、融資がおります。
それと同時に、役員や従業員に対しての報酬の見直しを行なっていく必要があるでしょう。
売掛債権の回収問題
売掛債権とは売掛金です。商品を販売しても、その商品代金がすぐに入ってこない業種は多数あります。商品代金が入ってきて初めて利益となるわけですが、それが入ってこない状況では未確定の利益にすぎません。この未確定な利益のことを売掛債権や売掛金というわけです。
売掛金が入ってくるまでには2ヶ月〜3ヶ月ほど時間を要するケースが多いです。その間に資金ショートしてしまい倒産してしまう会社も多く、これを黒字倒産と言います。
黒字倒産を防ぐためには、まずは早い段階で資金ショートの危機を予測し、金融機関から資金調達を行なっておくことが重要です。もしくは売掛債権自体を売却してしまうファクタリングが効果的とされています。
参照 黒字倒産を回避する方法!売掛金さえあれば売却し黒字倒産を回避可能
ファクタリングを利用する際には手数料が発生します。そのため、ファクタリングを多用する会社の中には、初めからファクタリングを利用することを前提とした価格設定にしているケースもあります。
参照 ファクタリング会社一覧
資金繰り悪化を認識していない
今まで紹介してきた中で最も避けたいことが資金繰りの悪化を認識していないことです。
どのくらい会社にお金が入ってきて、どのくらいのお金が出ていっているのかを把握していない事業者は存在します。理由はさまざまです。単にお金に興味がないということもありますし、ただ確認していないだけということもあります。また会社のお金の流れは社員に任せているといったケースもあります。
まず会社のお金の流れは、事業者自身がしっかり把握するようにしましょう。これが基本です。
社員に任せている、もしくは税理士に任せているという事業者もいますが、もしそれで会社の経営が悪化したとしても、最終的に責任を取るのは事業者自身となります。
なのでこのような場合は、事業者の意識を変えるしかありません。
ファクタリング会社
大切なことは、どのような状況に陥ったとしても、回避方法をいくつか用意しておくということです。その1つとしてファクタリングを利用するのでも良いですし、銀行融資を利用するのでも良いと思います。
資金繰りの悪化は予測と早めの対応が重要
資金繰り悪化の問題は、どの事業においても発生する可能性があります。事業が上手くいっていたとしても起こり得ることなのです。
まずは事業者自身が会社の経営状況をしっかりと把握しておくことが大切です。誰かに任せきりにしても会社の責任者はが最終的には責任を取ることになるためです。
資金繰り悪化に不安があるのであれば、短いスパンで資金繰り表を作成してみると良いでしょう。問題があるのなら数字でしっかり現れます。