元請け業者から支払いがされないならファクタリングが便利です。
そもそも下請法により、下請け代金は2ヶ月以内に支払われることになっています。これを違反してしまうと元請け業者は罰則の対象となってしまうのですが、それを知ってか知らずか代金の支払いをスムーズに行わないケースが多数あります。
下請け業者
取引先元請け業者
下請け業者
取引先元請け業者
このような経験をされた事業者も多いのではないでしょうか。
下請け業者からしてみると、下請け代金を受け取れないということは資金繰りの悪化につながります。
このような状況となってしまった場合、ファクタリングを利用することで資金繰り悪化を防ぐことができるかもしれません。ファクタリングを利用し下請け代金を受け取れる権利をファクタリング会社に譲渡します。そうすることで資金調達をすることが可能となるのです。
Contents
下請け業者がファクタリングを利用する方法
下請け業者がファクタリングを利用する方法を紹介します。
と言っても話は単純で、下請け代金を受け取れる権利をファクタリング会社に譲渡するだけです。そうすることで、手数料を引いた金額を受け取ることができます。後に元請け業者より代金が入金された段階でファクタリング会社にお金を送ることで、すべての流れは完了となります。
下請け業者
このままでは固定費を支払うことができないし、孫請け業者への支払いができない・・・。
ファクタリング会社
元請け業者から受けた仕事は完了しているとのこと。そして請求書も出しており、後は代金の入金を待つだけとのこと。
今すぐに代金を入金してもらいたいが、それがされない状況であるということ。
下請け業者
ファクタリング会社
その後、元請け業者から代金が入金されましたら、それをそのままファクタリング会社に渡してください。
下請け業者
ファクタリング会社
これが一連の流れとなります。
もう少し詳しい流れの説明
もっとわかりやすく仕事の流れを把握してみましょう。
まず下請け業者は、元請け業者より仕事の依頼を受けます。
取引先元請け業者
下請け業者
そして仕事を終了したら元請け業者より代金をもらいます。
下請け業者
取引先元請け業者
このような流れで下請け業者は代金を受け取ることでしょう。
もし下請け業者がさらに下請け(孫請け)に仕事を振っている場合には、元請け業者より代金をもらい、その代金の一部を下請け業者に支払うことになります。
このような感じとなっています。
孫請けが仕事を完了したら、下請け業者に請求をし、下請け業者は元請け業者に請求をする。
これが一般的な流れとなっていることでしょう。
すべてが繋がっており、どこかしらで支払いが滞ってしまうと、繋がっているすべての業者に影響を及ぼしかねません。
元請け業者より支払いがされないと下請けと孫請けに影響が出る
仕事を完了した後に、孫請けは下請けに、下請けは元請けに請求書を出すことになります。
結果として元請けは下請けに、下請けは孫請けに代金を支払うようになります。職種や業界によりこの構図が異なるケースもあります。
たとえば孫請けに仕事を振る際に、下請けが初めにお金を出すといったパターンもあります。
いずれにせよ、元請けからの入金が重要となってきます。
しかし元請け業者の経営状態によっては、下請けに対して代金の支払いを行えなくなってしまうケースもあります。すると下請け業者は孫請け業者に対して代金の支払いをすることができません。結果的に連鎖倒産に陥ってしまう可能性が出てきてしまうのです。
そこで連鎖倒産を防ぐためにも資金調達が必要となってくるのですが、その際にファクタリングがよく利用されているのです。
元請け業者に知られずに資金調達可能
ファクタリングを利用することで、元請け業者に知られることなく資金調達をすることができます。
もしファクタリングを利用して資金調達を行ったことを知られてしまうと、今後の取引に影響が出てしまう可能性があります。
元請け業者
今後仕事を振った時に、途中で会社が潰れてしまう可能性がある。それは困る。
他の業者に仕事を振るようにしよう・・・。
このように思われてしまう可能性が否定できないのです。
そのため、事業者の中には資金調達をしたことを周りに知られたくないと考える場合があります。そのような時にファクタリングは都合が良いのです。
債権譲渡の通知を行わない2社間契約
ファクタリングの契約形態には2社間契約と3社間契約があります。2社間契約を利用すると、元請け業者に知られることなく資金調達をすることが可能となります。
元請け業者より依頼された仕事を完了すれば、下請け業者は元請け業者より代金をもらえる権利が発生します。これを「売掛債権」といいます。この際、通常であれば元請け業者に対して請求書を出すことでしょう。つまり請求書を出しているということは仕事を完了させて、仕事の代金をもらえるということです。よって売掛債権が発生しているということになります。
なので元請け業者に請求書を出した事実があれば、売掛債権を持っているということになります。
この売掛債権は譲渡(売却)することが可能なのです。そしてそれを買い取ってくれるのがファクタリング会社となるわけです。
話を戻しますが、ファクタリング業者と契約を行う際には、2社間契約と3社間契約のどちらかを選ぶことになります。
その際に2社間契約を選ぶことで、元請け業者にはファクタリングで資金調達したことが知られないようになります。つまりファクタリング会社が元請け業者に対して、債権譲渡通知を送らないためです。
下請け業者からしてみれば、債権譲渡通知を元請け業者に送られないことで、今後も今まで通り仕事の取引を行うことができます。非常に都合が良いのです。
都合が良い反面、ファクタリングの手数料が高くなります。
逆に3社間契約を選ぶと、債権譲渡の通知を元請け業者に対してされてしまいます。非常に都合が悪いと思います。
都合が悪い反面、ファクタリングの手数料は低くなります。
2社間契約 | 3社間契約 | |
---|---|---|
メリット | 債権譲渡通知を元請け業者に送られないため、今後も今まで通り取引を行うことができる。 | 債権譲渡の通知を元請け業者に対して送られる。 |
デメリット | ファクタリングの手数料が高くなる。(10%~30%) | ファクタリングの手数料は低くなる。(5%~10%) |
ファクタリングでの資金調達は緊急性があるとの判断も
ファクタリングを利用すると、早ければ即日で資金調達することができます。
しかし元請け業者に知られずに資金調達するためには、2社間契約をする必要があります。つまり手数料が高くなるということです。
具体的に言いますと、売掛債権の約10%~30%が手数料となります。債権金額が100万円であれば10万円~30万円が手数料となるわけです。
元請け業者にファクタリングを利用したことを知られる危険性とは
元請け業者にファクタリングを利用したことを知られることは意外と危険と言わざるを得ません。
元請け業者
ファクタリングを利用したということは、早急な資金調達が必要だったということ・・・。つまり資金繰りが上手くいっていない可能性がある。
今後の取引は考え物だな。
ファクタリングを利用したということは、高い手数料を支払ってでも早急に資金調達をする必要があるという解釈をされてしまうことがあります。そこから汲み取れるのは、資金繰りの悪化、そして資金ショートの可能性ということです。
よってファクタリングを利用したことが分かると、元請け業者に対してマイナスの印象を与えてしまいかねないのです。
結果としてファクタリング利用者の90%以上が、2社間契約を選択するとされています。つまりファクタリングで資金調達したということを知られたくない下請け業者は多数いるのです。
そのため結局のところ、ファクタリングを利用するほど緊急に資金調達をしたいのであれば、やはり2社間契約を利用するしかないのかもしれません。
2社間契約は万能ではない
ファクタリングを利用するときに、2社間契約を利用すれば元請け業者に知られることなく資金調達することができます。
そのため、資金繰りの悪化を防ぐこともでき、孫請け業者に対しても支払いをすることができることでしょう。
しかし、2社間契約も万能ではありません。元請け業者に知られてしまう可能性がゼロではないのです。
債権譲渡登記をされた場合には知られる可能性も
ファクタリング会社が下請け業者から売掛債権を購入したとします。つまり元請け業者から売掛金を受け取る権利がファクタリング会社に移動したことになります。
しかしこの段階では、あくまでも形的にファクタリング会社が売掛金を受け取る権利を持っているとなっているだけです。これを知るのは下請け業者とファクタリング会社だけです。
ところが、ファクタリング会社が売掛債権の譲渡登記を法務局にしてしまった場合、若干厄介なことになりえる可能性があるのです。
ファクタリング会社
債権譲渡を行いました!という登録をすることで、持ち主であると認定されるわけです。それが登記となるのです。
ファクタリングは原則登記を行うことになっています。しかし登記を行わない場合もあります。なぜなら下請け業者が嫌がるためです。
原則としてファクタリング会社は、債権譲渡登記を行うことになっていますが、すべて行っているかというとそうではないケースもあります。しかし、下請け業者との契約の中で怪しいと感じた場合には、高確率で債権譲渡登記を行い、債権の持ち主がファクタリング会社であるという登録を行います。つまり登記を行うということです。
債権が譲渡されたことが登記されてしまうと、調べようと思えば調べることができるようになってしまうのです。普通は調べることはありませんが、ゼロではないということです。
債権譲渡登記をされる可能性
ファクタリング会社は原則として債権譲渡登記を行うことになっていますが、そうではないケースもあります。
しかしほぼ確実に登記をされてしまうことがあります。それは下請け業者が契約違反を行った場合、もしくは行いそうと判断された場合です。
下請け業者がファクタリングを利用する際には、ファクタリング会社と契約を結びます。その契約の中に書かれていることに反するような行為を下請け業者が行った場合、ファクタリング会社は債権譲渡登記を行う可能性があるのです。
内容としてはいろいろありますが、たとえば下請け業者に連絡しても連絡がつかなかったり、買い取った売掛債権に不審な点があったり、期日までに下請け業者から入金がなかった場合などです。
つまり契約に違反するような行為を行った場合の話です。そのような行為を行わなければ、登記が行われないこともありますが、そのあたりは話し合いになることもあります。もし心配である場合には、契約の段階でしっかり確認をするようにしましょう。
下請法が守らなければ適切な対応を
元請け業者から代金の支払いがない場合、それは下請け法違反ということになります。
下請法が守られず代金の支払いが遅れたり、支払い自体をされないような元請け業者との付き合いは考え直した方がよいでしょう。またそれとともに、適切な対応を行ったほうが良いでしょう。
下請法に定められる禁止行為
下請法に定められる禁止行為は以下の項目となります。
禁止事項 | 概要 |
---|---|
受領拒否(第1項第1号) | 注文した物品等の受領を拒むこと。 |
下請代金の支払遅延(第1項第2号) | 下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。 |
下請代金の減額(第1項第3号) | あらかじめ定めた下請代金を減額すること。 |
返品(第1項第4号) | 受け取った物を返品すること。 |
買いたたき(第1項第5号) | 類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。 |
購入・利用強制(第1項第6号) | 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。 |
報復措置(第1項第7号) | 下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。 |
有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号) | 有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。 |
割引困難な手形の交付(第2項第2号) | 一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。 |
不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号) | 下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。 |
不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号) | 費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。 |
これらの違反することにより、元請け業者は罰則を受けることになります。
元請け業者が罰則を受けてもメリットがない!?
下請法を違反した場合、元請け業者は罰則を受けることになることでしょう。しかしそれでは、下請け業者にメリットがありません。下請け業者としては元請け業者に罰則を与えたいわけではなく、代金を受け取りたいのです。
そこで督促や内容証明といった方法があります。これによりこちら側が本気である、場合によっては法的処置をとるという意思表示をすることができます。
しかしこれは元請け業者に対して反旗を翻す行為であると受け取られかねません。結果的に代金を支払ってもらったとしても、その後の取引が継続するかどうかは大きな疑問です。
それに法的処置を取ったとしても、結果が出るまでに時間がかかります。それまでの間、資金繰りが悪化し、事業が持たない可能性もあるのです。
そうであれば、ファクタリングを利用して資金調達をして解決してしまったほうが良いと考える下請け業者もいるのです。
すぐに売掛債権を売却しリスク回避
すぐに売掛債権を売却することで、売掛金が未回収となるリスクを回避することができます。
督促や内容証明を利用する方法もありますが、先述した通り時間がかかります。
その間、資金繰りが悪化してしまい事業が持たない可能性もあります。
それであれば、売掛債権を売却し売掛金を回収してしまったほうがリスク回避という面では好都合と言えるでしょう。
売掛債権を売却したら関係なくなる
売掛債権をファクタリング会社に売却したら、もうその債権に関しての責任を負う必要はなくなります。
つまり、下請け業者がファクタリング会社に元請け業者からもらう予定の代金に関する売掛債権を売却したとします。すると代金をもらう権利はファクタリング会社に変更されます。
その段階で下請け業者としては、その売掛債権に関しての一切の責任から逃れられるというイメージとなります。
万が一、元請け業者から代金の支払いがされなかったとしましょう。それでも下請け業者がファクタリング会社から受け取ったお金を戻す必要はありません。なぜならばファクタリングの契約の多くはノンリコースの契約となるためです。(※ノンリコースでない契約の場合もあるので契約段階に必ずチェックしましょう。)
つまり少しズルく感じるかもしれませんが、もし元請け業者から代金の支払いが遅れたり、もしくは代金の支払いがいつになるか分からないような状況の場合、売掛債権をファクタリング会社に売却してしまえばよいのです。
そうすることで、下請け業者自身はお金を得ることができます。
その後、元請け業者が倒産してしまったとします。下請け業者には代金が支払われなかったとしましょう。しかし下請け業者はファクタリング会社からお金を受け取っています。そのため大きな損失を出すことはありません。ただしファクタリング会社は大きな損失を出してしまうことになります。
そこで下請け業者からお金を返してもらいたいとファクタリング会社は思うことでしょう。譲り受けた売掛債権の価値がなくなってしまったためです。ところがそれはできないのです。なぜならノンリコースの契約を行っているためです。
このようなこともあり、売掛金が支払われることに心配があるようなら、リスク回避の意味でもファクタリングを利用する方法もあるのです。