入金前払いシステムはファクタリングのこと
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入金前払いシステムはファクタリングのことです。

「入金前の売掛金を、取引先に代わって前払いで支払う」といった意味です。

「売掛金買取サービス」であったり「売掛債権買取」など色々な呼び方で表現されますが、結局はファクタリングのことを指します。

ここでは入金前払いという言葉を使って、ファクタリングのことを紹介したいと思います。

入金前払いシステムとは売掛金の前払い

入金前払いシステムとは、売掛金を前払いするということです。

取引先から売掛金が入金されるまでに時間がかかる場合、代わりにファクタリング会社がお金を渡してくれるといった意味合いです。実際にはファクタリング会社が売掛債権を買い取るといったものとなります。

もう少し詳しく説明します。

入金予定日前に前払いを受ける

今、どうしても現金が必要だとします。取引先から売掛金の入金予定があるのですが、入金予定日はまだまだ先であったとしましょう。

そのようなとき、入金予定システムを利用することで、取引先から入金される予定の売掛金を前払いという形でファクタリング会社から受け取れるのです。

しかし厳密にいうと、売掛金を受け取れるわけではありません。

ファクタリング会社は事業者の持つ売掛債権を購入します。売掛債権とは売掛金を受け取る権利であり、その権利をファクタリング会社が購入するといったものです。購入と表現していますが、権利を譲渡するといったものです。

その際に、手数料を引かれた金額を受け取ることができるのです。

結果として考えると、「取引先から入金予定の売掛金を前払いで受け取る」のと同じことになるため、「入金前払いシステム」と表現しているのです。

入金前払いシステムを利用できるのは事業者のみ

入金前払いシステムを利用することができるのは、事業者のみです。

事業者というのは法人、もしくは個人事業主のことを指します。よって一般的なサラリーマンや、アルバイト、派遣従業員は利用することができません。

なぜなら売掛金を持っていないためです。

「入金予定のお金があるのなら利用できるのでは?」

そう思われる人もいるかとは思うのですが、そうではありません。あくまでも「会社 対 会社」「事業者 対 事業者」の場合にのみ利用できるサービスとなります。

入金前払いシステムはファクタリングの別の呼び方でもあるわけですが、このようなシステムであったり、ファクタリングと言葉の付くものは基本的には「事業者専用のサービス」です。

そのため、もしこのサービスを利用したいと考えるのであれば、法人の代表であったり、個人事業主になることです。

給料ファクタリングは利用できない

もう少し話を膨らませてみたいと思います。

今はそれほど目にしませんが、数年前までは「給料ファクタリング」という言葉をよく目にした人もいるのではないでしょうか。これは個人が利用するファクタリングサービスのことでした。

何度も言いますが、本来は個人は利用することができません。しかし無理やり仕組みを当てはめさせていたのが給料ファクタリングというサービスなのです。

簡単に説明しますと、サラリーマンやアルバイト、派遣従業員は雇われの身です。雇われている会社から給与をもらいます。

基本的には毎月一定の給料を手にします。毎月20万円の給料をもらっているとすれば、来月も再来月も20万円の給料をもらうことになります。

ここで「給料を前払いで受け取ることはできないのか?」という考えが浮かんでくる人もいることでしょう。しかしこれはできません。

システムとしては入金前払いシステムのように思えるかもしれませんが、これは俗にいう給料ファクタリングです。給料ファクタリングは2019年、2020年あたりで話題となり、サービスを展開する業者もあり、利用者も存在しました。その中には被害を受けた利用者が数多く出てしまったのです。

確かに見方を変えると「お金を貸している・借りている行為」と同じです。つまり貸金業法に接触してしまうのです。

よって給料ファクタリング自体は衰退していきました。もしかしたらまだこのサービスを展開する業者も存在するかもしれませんが、ファクタリング業界として給料ファクタリングのことをよく思っていないですし、サービスとしても行なっていません。(全ての会社を調べたわけではないため実際はどうかわかりませんが・・・。)

当サイトの方針としても、給料ファクタリングには反対の姿勢を終始とっています。

もしお金が必要だったとしても、給料ファクタリングは利用しない方が良いと思います。どんどん自分の受け取れる給料金額が少なくなっていくようなものですので・・・。

入金前払いファクタリングは事業の助けに でも利用頻度は控えめに

入金前払いシステムであるファクタリングは、比較的簡単に資金調達をすることができるため、非常に利便性の高いサービスであることは間違いありません。

ところが、使い続けることはあまりおススメできるものではありません。

状況にもよりますが、資金ショートをしている状態で、何度も利用するというのはおススメできないということです。資金ショートしていない状態で、少しでも早く手元に現金を手に入れたいというのであればその限りではありません。

この2つには大きな違いがあります。

資金ショートを繰り返すのは危険

資金ショートとは簡単に言うと、事業で利用することのできる現金が不足してしまう状態のことを言います。

実は経営が順調である会社であっても起こりえる問題です。その結果、黒字倒産につながってしまうことがあるのです。

黒字倒産とは、売り上げがあるのにもかかわらず、倒産してしまうことを指します。

参照 黒字企業でも起こり得る「資金ショート」(外部サイト)

 

たとえば取引先から大量の注文が入ったとします。その大量の仕事をこなし納品したとしましょう。

しかし商品代金である売掛金が入金されるのはすぐではなく、数ヶ月後であるケースが多いです。その数ヶ月間も会社を維持するために固定費を支払いますし、別の取引先へ買掛金を支払うこともあるでしょう。

結果として、商品代金が入金される前にお金が不足してしまうのです。これが資金ショートです。その結果、倒産してしまった場合には、黒字倒産と言われます。

または、商品代金を入金してくる予定の取引先が突如倒産してしまった場合には、やはり売掛金が入金されなくなってしまいます。結果資金ショートとなり、やはり黒字倒産となってしまいます。この状態でしたら連鎖倒産といってもよいかもしれません。

実は黒字倒産はよくある話であり、倒産する会社の約半数に該当するとさえ言われています。

よって黒字倒産を防ぐために資金ショートの状態にならないことが大切です。

そこで資金ショートを回避するために、入金前払いシステムを利用するという方法があります。

ところがここまでの話でも分かったと思うのですが、資金ショートは倒産の一歩手前状態です。そのような状態に何度も陥っていしまうということは、そもそも経営状況が良くないと言わざるを得ません。

「ファクタリングがあるから資金ショートは回避できる」

と考える事業者もいるかもしれないのですが、ファクタリング会社からすると、ファクタリングを何度も利用するような事業者を避ける傾向にあります。いつかは倒産してしまうと思うためです。倒産されてしまうとファクタリング会社は大きな損失を出してしまうことになります。

入金前払いシステムをうまく利用する事業者

入金前払いシステムをうまく利用する事業者もいます。

別に資金ショートをしているわけではないのですが、入金前払いシステムをよく利用する事業者のことです。なぜ利用しているのかというと、早期で利益を確定させるためです。

売掛金というのは入金されて初めて利益が確定します。つまり入金されるまでは不安定な状況なのです。そして入金されるまではそのお金を使うことはできません。

事業者の中には、仕事をどんどん回すために現金を手元に用意したいと考える人がいます。取引先の入金予定日なんて待ってはいられないのです。

「手数料を取られて損をしてしまう」

このように考える人もいることでしょう。しかし元々手数料分を上乗せした金額で仕事を受注したりすることもあるのです。

これにより、入金前払いシステムを利用して手数料を取られたとしても、本来の金額が入ってきて、尚且つ早期で現金を手に入れることができるのです。

もちろん、毎回利用するわけではありません。取引先の経営状況が少し怪しいと感じた場合や、すぐに行動すればビジネスチャンスにつながる案件があるが、資金調達する時間がないという場合などに利用します。

入金前払いシステムは使い方次第

入金前払いシステムは使い方次第で薬にも毒にもなります。

まずおさらいとして、このサービスは事業者専用です。会社の社長や代表しか利用することができません。これは絶対です。

次に資金ショートの状態で利用し続けることは避けたほうが良いでしょう。手数料が高いため、一時状況が良くなったとしてもすぐに苦しくなってしまうことが目に見えているためです。

入金前払いシステムの契約は、取引先から売掛金が入金されたらお金を戻さなければならないという契約になってしまいます。時折、勘違いをして戻さなかったり、分割交渉をしてくる事業者もいるそうですが、不可能なのです。戻さないという行為は契約違反となります。分割というのは貸金業ではないため、そもそもすることができません。

なので、資金ショートを繰り返すような事業状況になっているのであれば、まず事業の問題点を見つけ出し改善することが先決でしょう。その際には認定支援機関に認定されている士業等に相談してみると、良い答えをもらえるかもしれません。