総量規制や利息制限法はファクタリングには関係のないものです。
そもそも総量規制や利息制限法は、融資(貸金)に関する法律です。そもそもですがファクタリングは貸金ではありません。そのためまったく関係のない話となるわけです。
スポーツに例えると、「野球のルールにサッカーのルールが適応されるのか?」と聞いているようなものなのです。野球もサッカーも同じようにボールを使う競技です。しかし誰の目から見ても全く違うルールであることは明らかです。
それと同じように、貸金もファクタリングも同じお金に関する資金調達方法ではありますが、まったく違ったものであるため、違ったルールが採用されているのです。
ではなぜ、総量規制や利息制限法といった法律とファクタリングの関係性について心配する人がいるのでしょうか。理由は以下の通りでしょう。
- ファクタリングを貸金だと思っている。
- ファクタリングは個人が利用できるものだと思っている。
ファクタリングはこのいずれにも該当しません。貸金ではありませんし、個人では利用することができません。
総量規制とは個人の借金に対する法律
そもそも総量規制とは「個人は年収の3分の1以上のお金を借りることができない」という法律です。
この「個人」というのは一般的なサラリーマンやパート、派遣社員といった人たちのことを指します。一方ファクタリングは「事業者」が利用するものです。
総量規制は個人。ファクタリングは事業者。
この段階で全く関係のないものであることが分かると思います。
そして何よりファクタリングは貸金ではありません。会社(事業者)の持つ売掛債権をファクタリング会社が買い取ることです。売掛債権を担保にするわけでもなく、債権を譲渡するのです。つまり持ち主を変更するというものです。
簡単に言うと、「会社の持っているものを売却する」というものです。売却です。売っているわけです。売ってお金を調達しているわけです。借りているわけではありません。
このことから貸金とは違うということが分かると思います。
これらのことからも、ファクタリングと総量規制を結びつけるのは無理な話なのです。
もし総量規制の対象となったら
万が一の話をしますが、もしファクタリングが総量規制の対象となったらどのようなことが起こるかを考えてみたいと思います。
年商1億2000万円の会社があったとしましょう。1ヵ月に1000万円の売掛金が入ってきているものとします。
毎月1000万円の売掛債権をファクタリング会社に売却していたとします。手数料が20%だったとすると800万円がファクタリング会社から入金されることとなります。1年では9600万円です。
では総量規制を適応したとしましょう。4000万円までしかファクタリングを利用することができないため、4ヵ月~5ヵ月目にはファクタリングを利用することができなくなってしまいます。
ファクタリングが必要であるから利用していたわけなので、1年の半分もいかないうちに利用できなくなってしまうということは、残りの半年の資金繰りが危うくなる可能性が高いのです。
参照 資金繰りの悪化には9の原因がある 原因を分析し改善することが大事
利息制限法とは借金の利息に関わる法律
利息制限法とは借りるお金に対しての利息に制限をかけるといったものです。借りる金額にもよりますが、最高でも20%とされています。
100万円を1年借りたら120万円にして返済しなければならないということです。
参照 利息制限法(外部サイト)
ファクタリングは貸金ではないため、そもそも適応されない法律ではあるのですが、無理やり適応して考えてみたいと思います。
と思ったのですが、実際は比較するのが難しいのです。
借金であれば数年での返済となり年単位で契約が続くことになります。契約期間が長くなればなるほど、返済額が大きくなっていくといったものです。これが「利息」です。
ところがファクタリングの場合は、2ヶ月~3ヵ月での契約となります。年単位で契約するものではありません。そしてその間、手数料が変化することはありません。
なので比べる対象がそもそも違うということが分かると思います。
そして次にファクタリングの場合、2者間契約であれば手数料が10%~30%であり、3者間契約であれば5%~10%が相場となっています。
こう考えると、借金であれば1年で20%の利息に対し、ファクタリングは2ヶ月~3ヵ月で5%~30%の手数料になるから場合によっては数倍にもなるのでは?と思う人もいるようです。
しかし再三いうように、ファクタリングは年単位で契約をすることはありません。そしてお金を貸しているわけでもありません。
100万円を年利20%で借りた場合、20万円の利息が1年で発生します。
100万円の売掛債権をファクタリング会社に売却した場合、2ヶ月~3ヵ月で約20万円の手数料が発生します。
この段階ではあまり違いがないのです。
しかし借金の場合は返済期間を延ばすことができます。2年、3年、4年と・・・。すると利息はどんどん膨れ上がります。契約が続くとはこういう現象が起こるのです。
ところがファクタリングの場合は、契約期間が短いのです。それはファクタリング会社は売掛債権を買い取っているためです。売掛債権は通常、数ヶ月で現金化されるものです。
このようなこともあり、そもそもファクタリングは借金ではないため利息制限法は適応されませんが、もし適応したとして考えても、場合によっては借金のほうが多い手数料を支払うことになる可能性があるのです。
なぜ総量規制と利息制限法がファクタリングに結びついたのか
総量規制と利息制限法がファクタリングに結びついた理由は冒頭でも挙げた
- ファクタリングを貸金だと思っている。
- ファクタリングは個人が利用できるものだと思っている。
という人たちの存在があると思います。そしてもう1つ。「給与ファクタリング」を利用したいと考えている人たちの影響ではないかと思うのです。
まず先にお伝えしておきますが、このサイトは給与ファクタリングの利用はおススメしていません。なぜなら貸金業に該当する可能性があるとともに、多くのファクタリング会社がNGと考えているためです。
給与ファクタリングの知名度が上がり至るところで問題発生
2018年~2020年の間、非常に多くの給与ファクタリングを扱ったサービスが世の中に展開されていました。インターネット上でも多くの広告を目にしました。
「個人でもできる借金ではない資金調達」
といったニュアンスの広告を目にしたのです。
しかしやっていることは貸金業と非常に類似しているため、各地で訴訟が発生しました。これにより最近では給与ファクタリングの広告自体を見る機会がかなり減ってきたように思えます。
給与ファクタリングを利用しようと考えている人からすると、借金もファクタリングも同じと捉えているのかもしれません。どちらも「お金を手にするという行為は変わらないため」です。
何よりも「すぐにお金を手にできる」「信用情報が傷つかない」ということが魅力だったのかもしれません。だからこそ一気にその知名度が広がったことでしょう。
結果として「ファクタリング=お金を手にできる=借金」よって「ファクタリング=総量規制、利息制限法」というようにつながったのではないでしょうか。
最後に確認 ファクタリングは貸金業ではない
最後にもう一度確認をしておきます。
ファクタリングはお金を貸し借りするものではなく、貸金業ではありません。そのため貸金業に関連する総量規制や利息制限法とは関係のないものです。
ただ時として、貸金と似た行為とされ問題が発生することがあります。実際にファクタリング業務を行っている会社が、貸金まがいのことを行っていたということもあるようです。
しかし基本的にファクタリングは貸金業ではないため、貸金業で適応されるような決まりの範疇外となると考えます。