ファクタリング会社を探しているときに、「買取率」という言葉を目にしたことがあるでしょう。
たとえば「買取率90%以上」といった数字を見たとき、どのように思うでしょうか。
「10人に9人はファクタリングを利用することができる」
と思うことでしょう。
しかし実際は、なかなかそう上手くは行かないのです。
今回は「高い買取率の理由」をお話ししたいと思います。
ファクタリングには2度審査がある
ファクタリングを利用する際には、2度の審査を通過する必要があります。
そもそもファクタリング会社のサイトを見ても、審査の回数は表示されていないと思います。そのため誰もが審査は1度だけと思うことでしょう。
しかし実際には2度審査があります。
正確に言うと、まずはじめに「ファクタリングを利用できる対象者」であるかどうかを判断されます。
次に「対象者である場合には提出書類を審査」されます。
1度目は審査というよりもチェック?なのかもしれません。
対象者ではない申し込みが多い
ファクタリングを利用できるのは「売掛債権を持つ事業者のみ」です。
ところがそうではない人からの申し込みが非常に多いのです。
- 売掛金を持っていない事業者
- そもそも事業者ではない
どうやらファクタリングは資金調達であり、資金調達ということは借金ができると思っているようなのです。
ファクタリング会社側としても、対象者以外はお客にすることができません。そのため1度目のチェック(審査)が必要となるのです。
対象者であれば買取率は確かに高くなる
売掛債権を持っている事業者だけから申し込みがあった場合であれば、確かに買取率は高くなると思います。
しかしそれでも買取率が90%を超えるのは難しいことでしょう。
なぜなら「事業者の持ち込む売掛債権が回収見込みがない場合がある」ためです。
回収できない債権は扱わない
ファクタリング会社は、価値のある売掛債権しか購入しません。
そうでなければ大きく損失を出してしまうためです。
たとえば100万円の売掛債権を事業者から80万円で購入したとします。事業者は80万円資金調達することができました。
ファクタリング会社としては、マイナス80万円の状態です。
数ヶ月後、事業者の売掛先が事業者に100万円支払いました。そして事業者はその100万円をファクタリング会社に入金します。これにより、ファクタリング会社としては20万円の利益を出すことができるのです。
しかし事業者の売掛先が倒産してしまったとします。100万円の入金もなくなってしまったとしましょう。
売掛金をもらえる権利を持っているのは、売掛債権を購入したファクタリング会社です。すでに購入資金として事業者に80万円支払ってしまっています。
結果として、ファクタリング会社はマイナス80万円という損失を出してしまうことになるのです。
よって回収見込みのある売掛債権のみを扱うようになるのです。
回収見込みの債権は意外と少ない
事業者がファクタリング会社に持ち込む債権が、すべて回収見込みであるかというと、そのようなことはありません。
ファクタリング会社が重要視するのは、取引先の経営状況です。つまり事業者に対して支払いをすることができるかどうかという判断をしなければなりません。
しかし、取引先の会社がどのような会社であるのかを外部から判断するのはなかなか難しいものです。
そのため、事業者に提出してもらった書類や独自の与信調査で判断します。
一度のミスで大きな損失
ファクタリング会社は手数料商売です。つまり大きな手数料を得るためには、大きな金額の債権を購入する必要があります。
つまりは、先出しで事業者に対してお金を渡すことになるのです。
万が一のことがあった場合、そのお金は戻ってきません。そのため1度のミスが致命的になるのです。
だからこそ、審査は慎重になります。
ところがファクタリングの売りはスピードです。早ければ即日で資金調達できるということが魅力です。
よって、早いスピードで債権を購入できるのかどうかを判断しなければならなくなり、それだけリスクも高くなるのです。
買取率90%以上はウソとは言い切れない
このように考えると、買取率が90%を超えるというのはなかなか難しいと思うのです。
ただしこの買取率というものはあくまでもファクタリング会社のアピールです。
「取引先がしっかりしていて入金も間違いなくされる債権の買取率が90%」というのを「買取率90%」と表現している可能性もあるのです。
実際ウソを言っているわけではありません。言葉足らずなだけ・・・と言われればそうかもしれないのです。
しっかりした債権を持っていけばほとんどOK
しっかりとした売掛債権を持っていけば、ほとんどのファクタリング会社が購入してくれることでしょう。
ここでいうしっかりとした債権とは、しっかりとした取引先の債権ということです。
- 取引先が大手で有名企業。
- これまで何度も取引があり、口座間でのやりとりがあった。
これであれば、すべてのファクタリング会社が債権を購入してくれると思います。
しかし
- 取引先が個人事業主。
- これまで取引がなくはじめての取引。
このような場合には、利用を断られることがあると考えたほうが良いと思います。
そのためあくまでも買取率90%以上というのは「ファクタリング会社が望む事業者の場合」と思っていたほうがよいでしょう。